中学生が夢中になる!酸化銀を使った“本物の銀”を引き出す実験(酸化銀の熱分解)

桑子研
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「黒い粉から銀が出てくる!」―酸化銀の分解実験は中学生の心をつかむ

中学校理科の「化学変化と原子・分子」分野の授業では、分解の実験として酸化銀の熱分解がよく取り上げられます。この実験、見た目の変化もはっきりしていて、しかも銀という金属が現れるというインパクトがあるため、生徒の印象に残りやすい実験のひとつです。

今回は、ある学校の授業でこの実験を見学する機会がありました。生徒の反応や、準備・実施におけるポイントを観察しつつ、授業づくりのヒントをまとめてみました。

▼ 実験の概要

■ 使用するもの
• 酸化銀(粉末状の黒い物質)
• ガスバーナー
• 試験管・試験管ばさみ
• 金網
• 電気導通チェッカー(導通確認)
• 金床(または硬い台)、金づち

▼ 実験の手順と観察ポイント

① 酸化銀を加熱する

アルミホイルを船のような形にして、そこに酸化銀を入れます。

ガスバーナーで酸化銀を加熱すると、しばらくして黒かった粉が灰白色に変化していきます。これは酸化銀が銀と酸素に分解されていく反応です。
※試験管の口は少し下げておきましょう(内部圧力の上昇による逆流防止のため)

② 生じた白い物質を取り出す
加熱後、冷えた物質を取り出して観察すると、白銀色の光沢がある部分が見えることがあります。

③ 電気が通るか調べる
取り出した物質に電気が流れるかを確認します。導通チェッカーを使って調べると、電気が通る=金属の性質があることがわかります。

④ 金床で叩いてみる
最後にその物質を金床の上で叩くと、薄く広がって変形します。これは「展性」があることを示し、金属であるという確かな証拠になります。

• 安全対策は万全に!:酸素が発生するため、火気に注意。試験管の破損防止や保護メガネの着用も忘れずに。
• 実験のねらいを明確に:「化合物の熱分解」「金属の性質の確認」という2つの観点を意識させると、思考が深まります。

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