大豆サイズの銅が!炭素を使った酸化銅の還元実験のコツ
酸化銅の還元実験を行いました。酸化銅の中に炭素をよくまぜて、それを熱して還元させるという実験です。うまくいくと大豆レベルの大きさの銅が出てきます。ただコツがあって、なかなか全部の班がうまくいくとは限らないのですが、コツとともにまとめてみました。
用意するもの:
保護メガネ、白衣、酸化銅、炭、石灰水、ガラス管つきゴム栓、乳鉢、乳房、試験管立て、ビーカー50mL、ガスバーナー、ピンチコック、ゴム管、薬さじ、スタンド、マッチ、燃えがら入れ、ガラス棒
教師のほうであらかじめ準備をしておくもの:
電子天秤で酸化銅と炭素をはかりとって(酸化銅(Ⅱ)CuO 2gと炭素0.2g)、それぞれ薬包紙にいれておく。
1 酸化銅(Ⅱ)CuO 2gと炭素0.2gを、乳鉢の中でよく混ぜ、混合物を試験管に入れる。理論的には酸化銅:酸素=2:0.15である。なお試験管の底に固めるという感じではなくやや広げておくという感じ?詳しくはこちらの動画が参考になります。
その後、薬包紙の上に薬さじをつかってだしてから、試験管に薬包紙をつかって入れます。
注意点:よくまぜること、またすこしひろげること
2 試験管の口を少し下に下げて、スタンドにとりつける。ピンチコックはガラス管にはさみ、気体が通るようにしたまま、ガスバーナーで熱する。加熱すると試験管の中に水蒸気が発生することがある(炭に含まれていたりする)。
※ 加熱をするときは強火ではじめからいくと成功する可能性が高くなります。
※ 化学反応としては水は発生しないのだが、実際は炭などに水が含まれていることがあり出てくる。
3 混合物が反応し赤熱が終わったら、ガラス管を石灰水の中から取り出して、火を消し、ピンチコックをゴム管の途中でとじ、空気が試験管の中に入らないようにする(一度還元された銅がまた酸化をしてしまうため。ピンチコックを閉じることによって、空気の流入を防ぐ。)。
石灰水の様子をみていて、白く濁っていた場合は、反応が目に見えなくても起こっています。石灰水が十分白くなったら実験終わりです。うまくいかない場合も5分くらい加熱して赤くならなかったら石灰水の濁りを確認して火をとめましょう。
試験管は硬質(パイレックス)の試験管を使う。かなり温度が上がる。逆流に注意をする。反応がはじまると石灰水が一気に反応する。
4 試験管が冷えたら(5分くらいはかかる?)、試験管内の物質を水の入ったビーカー(50mL)にうつして、ガラス棒でかき混ぜて、水面に浮いた炭の粉を流しに捨てる。上澄み液をすてるイメージ。なおうまく反応をした班(色が赤くぱっとひかって反応した班)については、そのままろ紙の上にだして手で選別すればよい。
完全に還元されると銅ができるが、不十分だと酸化銅(Ⅰ)Cu2Oができてしまう。銅も酸化銅(Ⅰ)も赤色ではあるが、酸化銅のほうが濃い赤色である。1つの塊の中に両者が存在することが多くある。
5 5分〜10分ほど試験管がひえるのをまってから、熱した試験管の内側とビーカーの残留物の色を観察する。また、試験管の底の部分などを固いものでこすって金属光沢を観察する。その他、場合によっては、金床で叩く、電流の流れ方、また炎色反応などで確認する。
片付け方
試験管はよく試験管ブラシで洗う。試験管がぬけたないように左手の親指で試験管の底をおさえてあらうように再度指示をだす(硝酸を使うとよく落ちるらしい)。銅は別に前で集める。銅と酸化銅がまざったものは水を少し入れて前で大きなビーカーにいれて回収する。
工夫
乳鉢は酸化銅の還元用の乳鉢としてしまい、軽くおとしたら回収をしてしまう(洗わない)。
なお授業時間を50分とすると、この実験を終えることがとっても大変なので、すぐにはじめられるようにしておかないと間に合わなくて大変です。うまくいくとこのようなものが出てきいます。
うまくいかなかった班もわずかな銅がみられます。
うまく反応の起こった班は、試験管の中がパッと赤く光りはじめて、そして銅の塊のようなものがボロっとできていました。
昨年はこんなにきれいに銅が塊としてできたことがなかったので驚きました。物理には無い感動を味わえて、生徒といっしょに良い時間をすごすことができました。化学も面白いなぁ。後日、手作り木炭ではなく、林ケミカルの木炭末を使ったところ、よりうまく実験がいったとのことです。
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