お弁当の蓋がキーホルダーに!?トースターでできるプラスチックの科学実験(ポリスチレンの性質)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

お弁当のパックが、かわいいキーホルダーに大変身!?道具はトースターだけ、材料はお弁当の蓋だけ。「えっ、それだけで?」と思ったあなた、ぜひ最後まで読んでみてください。実はこの実験の裏には、プラスチックの奥深い科学が隠れているのです。
そもそもプラスチックって何?
プラスチックとは、石油から生まれた合成樹脂(人間の手で製造された高分子化合物からなる物質)のことです。「高分子」というのは、小さな分子がたくさんつながってできた巨大な分子のこと。まるでレゴブロックを何百個もつないだような構造をしています。
プラスチックには次のように、様々な種類のものがあります(中学校の教科書で出てくるものをまとめました)。身近にあったものを写真で撮影してみました。
PE ポリエチレン 燃えやすい ゴミ袋



PP ポリプロピレン 燃えやすい ペットボトルの蓋

PET ポリエチレンテレフタラート 燃えにくい 例:ペットボトル

※ペットボトルのフィルムはポリスチレン、蓋はポリプロピレン
PS ポリスチレン 燃えやすい 納豆の容器・お弁当の蓋

PVC ポリ塩化ビニル 燃えにくい 消しゴム・水道管
「ポリ」ってどういう意味?
名前に「ポリ」とつくものが多いのに気づきましたか? 「ポリ」はギリシャ語で「たくさん」という意味です。たとえばポリエチレンは「エチレンがたくさんある」という意味。小さな分子が何千・何万個とつながってできているプラスチックにぴったりの名前ですね。ポリゴン(多角形)やポリフェノール(たくさんのフェノール基をもつ物質)など、日常でも「ポリ」はよく使われています。
プラスチックが私たちの生活に欠かせない理由
プラスチックには次のような優れた性質があり、生活の様々なところで使われています。
・成形・加工がしやすい。一般に、加熱すると柔らかくなり、冷えると固くなる
・軽い
・さびない
・腐りにくい
・電気を通しにくい
・衝撃に強い
・薬品に対して安定で、性質が変わりにくい
これほど多くの利点があるからこそ、プラスチックは20世紀に爆発的に普及しました。一方で、腐りにくいという性質が海洋プラスチック問題の原因にもなっており、科学の力が新しい分解可能なプラスチックの開発にも向けられています。便利さと環境問題、どちらも「プラスチックの性質」が鍵を握っているのです。
ポリスチレン(PS)の不思議な性質
今回の実験の主役は、プラスチックの一つであるポリスチレン(PS)です。ポリスチレンには、熱を加えるとやわらかくなり、加工しやすくなるという性質があります。身近なものだとお弁当の容器の蓋やプラバンがあります。プラバンは現在100円ショップなどでも売られています。私はよく模型屋で小さいころ買ってきて作っていました。

工作用のプラバンは、ポリスチレンを薄く伸ばしたものです。製造の過程で引き伸ばされているため、熱を加えると分子が元の状態に戻ろうとして縮みます。「縮む」というよりも「元の大きさに戻る」という表現の方が科学的に正確です。この性質を使って、キーホルダー作りができます。幼稚園や小学生からできるので、楽しいし、ぜひご自宅でも挑戦してみてください。
科学のレシピ
用意するもの:トースター、お弁当容器の蓋(ポリスチレン製)、アルミホイル(またはクッキングシート)、木の板×2
手順:
1 お弁当容器の蓋(ポリスチレン製)に絵を描いて、トースターの中で温めます。私が買ってきたのはおにぎりをいれるパックです。


「PS」と書いてあるものを使いましょう。
トースターの中に入れるときには、アルミホイルをくしゃくしゃに一度してから、戻したものを置いて、その上にプラバンを置きます。小森栄治先生の講座では、クッキングシートを使うと良いということを教えていただきました。
2 温めると、ふにゃふにゃと縮んできますので、ある程度縮みがおさまってきたら、割り箸で取り出します。クッキングシートの場合、プラバンが張り付きにくいので、すぐに剥がすことができました。反面、クッキングシートが焦げることもあり、何回も繰り返して使うのには適していないようです。大人数で何度も繰り返す場合には、アルミホイルの方が向いているかもしれません。

トースターに入れると、、、。




と、このようにプラ版のように平な板になりました!!
3 取り出したプラバンを熱いうちに、板の間に挟み込みます。ここは素早く行いましょう。


このようにポリスチレンが元の大きさに縮んで小さくなっています。キーホルダーの出来上がりです。お弁当の蓋からできるというのがまた驚きの実験ですね。ひもを通せば素敵なストラップの完成です!(^o^)

実験の後は「なぜ?」を考えてみよう
今回の実験のポイントをまとめると、プラバンが縮む理由は「ポリスチレンの分子が、製造時に引き伸ばされた状態から元に戻ろうとするから」です。熱によって分子の動きが活発になり、引き伸ばされていた状態が解放されるのです。これを「形状記憶」に近い現象と考えると、より深く理解できます。
形状記憶合金や形状記憶樹脂など、この「元に戻ろうとする性質」は現代の工業製品にも広く応用されています。お弁当の蓋が科学技術と同じ原理で動いている。そう思うと、いつもの食卓がちょっと違って見えてきませんか?ぜひ、ご自宅でも挑戦してみてください!
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