紙くずを静電気で集めて捨ててみよう!(誘電分極の実験)

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ケン博士
サイエンストレーナーの桑子研です。 

髪の毛を逆立てる等で、みなさんがかならず一度はやったことがあるであろう静電気の実験を発泡スチロールや紙くずで行ってみます。物体同士をこすりあわせると、電子の取れやすい物質と、受け取りやすい物質があります。電子がとれやすいのか、また受け取りやすいのかをまとめた表を帯電列といいます。

参考:帯電列

拙著『科学検定公式問題集5・6級』(講談社)

 性質が反対の2つの物質をこすり合わせると、効率よく静電気が発生します。

ゴム風船で静電気

例えばゴム風船を絹などでこすると、絹から風船に電子が移り、風船はマイナスに、絹はプラスに帯電します(仕事関数Wというものと関係があります)。

こすったゴム風船を発泡スチロールに近づけると、風船にはりつきます。

ちなみにこすった雑巾を近づけても、発泡スチロールは張り付いてきます。

なぜ張り付くのか?

これは誘電分極という現象と関係しています。誘電分極とは「電場によって微視的な電気双極子が整列することで引き起こされる。」とwikiには書かれています。

原子は通常は+の電気をもつ陽子の数と、電子の数が同じになっています。

電気としては全体として0になっており、これを中和といいます。例えば発泡スチロールなどの表面は原子の中で電子の場所に統一感はありません。

ここにたとえばマイナスに帯電させた棒を、

近づけていくと、、、電子が反発して下側に移動します。

結果として、発泡スチロールの上の表面がプラスに帯電します。そのため、帯電棒と発泡スチロールの間でマイナスとプラスで引き合います。プラスの帯電棒を近づけたときは、今度は電子が上に移動をし上がマイナス、下がプラスになり、やはり引き合います。

つまり、電気が流れない物質(不動体)であっても、プラスでもマイナスでもどちらの帯電棒を近づけても、引き合います。

面白いですよね。

写真にもその様子を加えてみると、

発泡スチロールですが、このまましばらくすると、落ちてしまうこともよくあります。その場合は、静電気が空気に逃げる場合もありますが、発泡スチロールに一部電気が移動して、反発して落ちる場合もあります。

紙くずでもやってみよう!

ゴミだと思っているものでも、見る方向を変えると素敵な実験道具になることはよくあります。学校では大量に発生するシュレッダーのクズ。家庭では折り紙などを細かく切ってもいいでしょう。

風船を絹などでこすったあとにシュレッダーくずや折り紙のクズに近づけてみましょう。

いかがでしたか?風船を近づけていくとクズが反応をして、立ち上がるのがわかります。

中には風船に吸い付けられるものもでてきますね。くっついたあとに、電気力線の向きにクズが立ち上がるのがまた面白いところです。なぜこのようになるのでしょうか。

また磁石ももってきて、くずに近づけてみました。くずは全く反応しません。

ちょっとしたことなのですが、電気と磁気の違いがよくわかります。

どんな仕組みなの?

基本的には発泡スチロールと同じです。風船を絹でこすると、風船はマイナスに帯電します。

マイナスに帯電した風船を近づけると、シュレッダーくずの中の電気に偏りが生じて、マイナスに帯電した風船に近い側が、プラスに帯電するためです(誘電分極)。

わかっていても、面白い。ぜひご家庭でも実験をしてみてくださいね。シュレダーくずがなくても、折り紙などを細く着れば、同じように実験ができます。

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