考える楽しさを発見!レゴのアヒル教材で何通りものアヒルができる!
新指導要領では、「主体的・協働的で深い学び」がかかげられていますが(アクティブラーニングともいいます)、といってもこれが難しく、生徒に「主体的になろうよ!」「積極的にかかわろうよ!」などといっても、なかなか効果はありません。
かといって、目的意識が希薄なママで実験をやると、教科書の丸写しのような考察が目立ちます。自分たちが実験で得た実験結果から考えられることを様々にまとめてほしい、それが考察なのですが、なかなかそうはいかないのが悩みでした。そこでレゴエデュケーションをつかったアヒルワークを実験の前に5分でよいので挟むことをしてみました。その結果、生徒の実験への関わり方に少しですが変化が見られるようになりました。
レゴでアヒルを作ってみよう!
袋の中には、それぞれ6つのレゴブロックが入っています。
これをつかって一人一つずつアヒルを作ります。パーツが6個しかないのが特徴で、このパーツをすべて、または一部つかってアヒルを作ります。時間は1分、さあスタートです。
できあがったら、近くの生徒どうしで作品を見せ合います。またとなりの生徒や近くの生徒と自分の作品について説明します。どうしてここにくちばしをおいたのか、などを話していきます。その後、他の生徒から質問を受けます。この交流の時間が終わったら、生徒の作品を机の上などに並べて観察します。
実際に作ってみると、作った生徒としては、アヒルはこうでしょ!と思って作っているのですが、出来上がったものをならべると、豊かなアヒル像があることに驚きます。実はどれ一つとして同じアヒルはありません。正解は一つではないのですね。
理論的には、ポッチが8つついた基本ブロックの2個の組み合わせは24通り、3個になると1060通り、6個だと約9億通りの形をつくることができるそうです(下の本参照)。
どれが間違っているというわけではなく、それぞれの思い描くアヒルの姿があることが、体験からよくわかります。またこのワークをとおすと、それぞれのアヒルのアイデアの面白さにも気が付き、生徒が他の生徒の作品をみて、「こんな作り方があるんだ」と自然に声がもれきこえてきます。
このワークをはさんだあとに実験を行って、考察を書くことを宿題として促すのですが、このアヒルワークのように、生徒それぞれの考察があってよいし、同じ考察になるのはおかしいことなんだよ、ということを伝えると、自由にいろいろな考察を書いてくれます。
現実世界の問題の答えは一つではありません。問題が何なのかわからないことも多いですよね。このアヒルの例からわかるように、教員が与えるテーマや、生徒の導き方やその答えは無限大で、この多様性が人間の価値であるというのがレゴの考え方のようです。
私はこのような活用をしていますが、他の使用例もあります。例えばある生物の先生は、分類の授業の初めにこのワークを行って、これらのアヒルを分類してみれば、足があるアヒル、ないアヒル、口が赤のアヒル、黄色のアヒル。
などなど、さまざまな注目点で分類をすることができるとのことです。いろいろと使い勝手のよいこのワーク、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょう。なおアヒルはカタログには載っていないそうですが、ナリカさんから購入することができるそうです(電話等で相談してみてください)。
その他にもこのようなワークも教えてくれました。それぞれ2人のペアになって、同じレゴのパーツをあたえて背中を合わせるように座ります。片方の人が2分間で自由な作品をつくります。
その後、作品自体は見せずに、言葉だけで説明を行って、もう片方の人はその言葉を頼りに作っていきます。時間は3分でした。実際に言葉で伝えるのはとても難しく、微妙な位置関係がうまくいかなかったり、似ているけど微妙に違うものができてしまうというペアが続出しました。
相手に情報を正確に伝えるのはどうすれば良いのかということをよく考えるときっかけとなりました。子供と遊び感覚で触っていたレゴですが、このような教育的な使い方があることに驚きました。レゴ侮れません。
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