ゲップの正体は化学反応!理科の授業で習う「中和」と胃薬の深い関係

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

「ついつい食べすぎて、胃がもたれる…」「胃がキリキリして痛い…」そんなピンチを救ってくれるおなじみの胃薬。実は、その小さな一さじや一錠の中には、中学校の理科で習う「化学の魔法」が隠されているのを知っていましたか?今回は、私たちの体の中で起きている身近な理科、「中和反応」について紹介します。

キャベジンコーワ

胃の中の暴れん坊!「胃酸」の正体とは?

私たちの胃の中では、食べ物を消化するために「胃酸」という液体が分泌されています。この胃酸の正体は、実は塩酸という強力な酸性物質です。通常、胃は粘膜で守られていますが、ストレスや食べすぎで胃酸が出すぎてしまうと、胃の壁を刺激して「胃もたれ」や「胸やけ」を引き起こします。これを解決してくれるのが、キャベジンコーワや太田胃酸などの胃薬に含まれる成分なのです。

炭酸水素ナトリウムが胃酸を「中和」する!

多くの胃薬には、制酸剤として炭酸水素ナトリウムが含まれています。これは弱アルカリ性の物質です。胃の中で、強酸性の胃酸と、弱アルカリ性の炭酸水素ナトリウムが出会うと、以下のような「中和反応」が起こります。

この式を見てわかるとおり、胃の中の厄介者だった塩酸は、反応によって塩(えん:塩化ナトリウム)と水、そして二酸化炭素へと姿を変えます。酸としての性質が打ち消されるため、胃の痛みがおさまるのです。ちなみに、胃薬を飲んだ後にゲップが出ることがあるのは、この反応で二酸化炭素が発生している証拠なんですよ!

消化を助ける強力なサポーター「酵素」

さらに、胃薬には「中和」だけでなく、消化そのものを手助けする成分も入っています。その一つが消化酵素「ビオヂアスターゼ」です。中和反応によって胃の中の酸性度がちょうどよくなると、こうした酵素が元気に働き始め、デンプンやタンパク質の分解をスピードアップさせてくれます。理科の教科書に出てくる「中和」は、ただの暗記項目ではありません。こうして私たちの健康を守るために、薬の成分として毎日どこかで活躍しているのです。次に胃薬を飲むときは、「今、私の中で化学反応が起きているんだな」と想像してみると、少しだけ理科が身近に感じられるかもしれませんね。

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