【理科の実験】エラー多発?「ビースピ」を100%使いこなすための3つのコツ
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
理科の実験で、転がるボールの速さや、ミニカーのスピードを正確に測りたくなったことはありませんか?「よーい、ドン!」でストップウォッチを押しても、なんだかズレてしまう…。そんな悩みを一瞬で解決してくれる、理科室のスーパースターがいます。その名も「ビースピ」です!
ビースピは、目には見えないセンサーの光線を2本張ることで、モノが通過する時間を0.001秒という精度でキャッチし、瞬時に速さを計算してくれる「簡易スピードガン」のような実験道具です。これを使えば、今まで感覚でしかわからなかった「速さ」というものを、数字として正確に捉えることができるのです。
さらに、ビースピを2台使えば、スピードがだんだん速くなる様子(加速度)まで測定できます。これは、かの有名なニュートンが発見した運動の法則を解き明かすことにもつながる、非常に重要なステップなのです。ただし、こんなにシンプルで強力な道具でも、初めて使うときにはいくつかの「落とし穴」があります。今日は、皆さんが実験でつまづかないための、大切なポイントを伝授します!
最重要!センサーの位置を理解しよう
ビースピで測定がうまくいかない原因の9割は、実はこれです。ビースピは、2ヶ所あるセンサーの両方を物体が通過して初めて、速さを計算できます。片方のセンサーしか通らなかったり、センサーのない場所を通過したりすると、「EEEE」というエラー表示が出てしまいます。
「なぜか測れない…」と何度も失敗してしまう生徒さんは、物体の通り道が、この2つのセンサーをきちんと横切っているかをまず確認してみましょう。道具の仕組みを理解することが、科学の第一歩ですよ。
意外な落とし穴!表示の確認を忘れずに
実験を成功させるためには、正しい「単位」と「小数点」の読み取りが不可欠です。
① 単位は「m/s」になっていますか?
生徒さんが触っていると、いつのまにか単位が「km/h」(時速キロメートル)に変わっていることがあります。日常生活ではお馴染みの単位ですが、理科の世界では「m/s」(秒速メートル)を基準に計算することがほとんどです。実験を始める前に、必ず単位が「m/s」になっているか、みんなで確認しましょう。
② 小数点の位置を見間違えないで!
ビースピの速さ表示は「00.34」のように4桁で表示されます。しかし、この小数点が意外と見にくく、「0.034」のように桁を間違えて記録してしまうケースが後を絶ちません。記録する前にもう一度、「小数点はどこかな?」と指差し確認するクセをつけると、ケアレスミスがぐっと減りますよ。
モードが変わってしまった時の対処法
「先生、ビースピが壊れました!」というSOS。その原因は、意図せずモードが切り替わってしまったことかもしれません。慌てずに、以下の方法を試してみてください。
① 単位が「cm/s」になってしまった場合
- 本体の電源を入れます。
- 「MODE」ボタンを長押し(数秒)します。
- 表示が「cm/s」→「m/s」に切り替わります。
② ストップウォッチモードになってしまった場合
実験ではあまり使わないのですが、ビースピにはストップウォッチ機能もついています。もし画面に「STOPWATCH」と表示されていたら、以下の手順で戻せます。
- センサー部分を両方とも指で隠しながら、本体の「MODE」ボタンをポチッと押します。
- 「STOPWATCH」表示が、いつもの「SPEED(m/s)」表示に戻ります。
教師にとっては当たり前に見えるビースピですが、初めて触れる皆さんにとっては未知の道具です。しかし、これらのポイントさえ押さえれば、これほど頼りになる相棒はいません。仕組みを理解し、正しく使いこなして、ぜひ科学の世界の探求を楽しんでください!
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