波でもっとも大切なある一つのこと【スマホで物理 #01】
第1章 波の性質
「波」という現象は私達の身近にある現象ですが、「波」は「物質」と比べると少し変わった性質があります。「波」を理解するためには、「波の性質」を頭に入れておくことが特に大切。次の図は、海の波の様子を示しています
モコモコしている波の形は、その場で静止しているわけではなく、時間とともに動いていきます。ついつい「波の形」がどう動くのかについて目で追ってしまいますが、「波の形」と「波を伝えているもの」は違う動きをしています!
波ってなんだろう?
それでは波を作って、実際に観察をしてみながら、波の正体について考えてみましょう。シーツや縄跳びのなわなどをもって、手を上下に素早く動かしてみてください。すると図のように波ができ、右向きにスーっと伝わって行くのがわかります。
シーツを持って振ってみる!
次にシーツの適当な場所に目印となるクリップをつけて、クリップの動きに注目してみてください。お友達にスマートフォンなどで撮影をしてもらうと、より良くわかると思おいます。
次の図のA(●)がクリップだと思ってください。もう一度手を上下に振って、1つの波を起こしてみましょう。
さっきと同じように波ができ、波の形が右方向へと移動していきます。ここで、クリップ(●)の動きに注目をしてください。クリップは波の形と一緒に右に動いていきません。クリップは波がくると上から下へと、その場で上下に往復するだけです。また手元の動き(●)から見てみると、手元(●)が上下に振動すると波が起こり、順番に波が伝わって、クリップ(●)に到達。同じようにクリップも上下に振動していることがわかります。
また次の図を見て下さい。
カラフルなクリップが描かれています。1つ1つがシーツにつけられたクリップだと思ってください。上から下の方の図へとおっていくと、「波の形」が右側に動いていることがわかります(図では「山」と書いてある盛り上がった部分)。
次にクリップ1つ1つに注目をしてください。例えば一番左にある赤いクリップは,真ん中から上、真ん中、下、真ん中へと上下に振動していることがわかります(右に動いているわけではありません)。そして山という部分がくると、赤いクリップは上にあがり、その後、青いクリップが上に、そしてオレンジのクリップが上にと、振動が少しずつ隣のクリップに伝わっていくことがわかります。
このようにそれぞれのボールが少しずつ遅れて上下に振動することで波の形が右に動いているように見えます。これが波という現象のもっとも大切なことです。これが波の正体です。
波は「波」という「物質」が動いているわけではありません。物質が順番に振動することで、「波」という「現象」が作られていたのです。
波にはその波を伝える物質が必要になります。この物質のことを媒質(ばいしつ)といいます。例えば、海の波の媒質は?
水分子です。
また、シーツに起こった波の媒質は?
シーツを作っている糸です。
実際に動きの中で波の伝わる様子を見てみましょう。こちらは東京書籍「新編物理基礎」のデジタル教科書の資料編から作成したものです。
それぞれの媒質は、隣の媒質とまったく関係なく動いていても、波という現象は伝わっていきません。また、ピッタリと隣の媒質と固定されていても、波は伝わりません。少しゆるい力で媒質どうしは結びついています。
続きます。
参考
・波については拙著も参考にしてみてください。
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・実際に科学部と一緒に作った次の装置を御覧ください。おもちゃのバネを連ねて、そこに振動を起こしてみるというものです。振動が次々に伝わっている様子がわかります。
奥のほうへと振動が伝わっているのですが、リング一つ一つが奥へと移動をしているわけではなく、リングはその場で振動をしているだけです。
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