なぜエレベーターで体重が変わるの?グラフで暴く「力」と「加速」の秘密(慣性の法則・運動の法則)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
皆さんは、エレベーターに乗った瞬間に「ふわっ」と体が軽くなったり、逆に「ぐぐっ」と重く感じたりしたことはありませんか?実はあの瞬間、私たちの体には理科の教科書に登場する「力(ちから)」がダイナミックに変化して襲いかかっています。しかし、不思議なことにエレベーターが一定の速さで動いている最中は、重さの変化を感じませんよね。止まっている時と同じ感覚です。この「動いているのに、止まっている時と同じ」という不思議な現象こそが、物理学の入り口であり、多くの人がつまずくポイントでもあります。
今回は、目に見えない「運動と力の関係」を、最新のセンサーを使って解き明かしてみましょう。
見えない壁:「等速度」と「加速度」の落とし穴
理科の授業で一番難しいのは、「運動の違いを目で見て区別すること」です。
テストの問題用紙に描かれた絵では、物体が「等速度(ずっと同じ速さ)」で動いているのか、それとも「加速度(だんだん速くなる)」がついているのか、なかなか見分けがつきません。さらに私たちの日常経験では、「動かし続けるには力を加え続けなければならない」という感覚があるため、「等速度運動=力がつり合っている状態」だという事実が、どうしても直感に反してしまうのです。そこで今日の授業では、生徒たちが抱くこの違和感を解消するために、イージーセンスという装置の力センサを使って、力の様子をグラフで「可視化」してみました。
用意したのはこちらです。

力センサ、イージーセンス、おもりの3つです。実験の様子については、次の動画を御覧ください。
グラフが証明する「つり合い」の真実
まずは、力センサにおもりをぶら下げて、ゆっくりと等速で持ち上げ続けている状態です。

厳密には動かし始めにわずかな加速度が生じるため小さな揺れはありますが、一定の速さで動いている間はグラフはほぼ横ばいです。これは、物体を引き上げる力とおもりの重さが「つり合っている」ことを示しています。つまり、「動いているのに、力は静止中と同じ」なのです。
「勢い」の正体は力にあり
次に、わざと力を入れて急激に上に引っ張ったり、パッと力を抜いて落としたりしてみました。すると、グラフは先ほどとは打って変わって激しく上下に振れます。

上にグイッと引っ張る瞬間(加速)には、おもりの重さ以上の大きな力が必要になり、逆に止める直前や落とす瞬間(減速・自由落下)には、力がガクンと弱くなります。この実験を通して生徒たちは、「力が変化するのは、速さが変わる(加速する)ときだけなんだ!」ということを、目と感覚の両方で理解してくれました。教科書の図だけでは分からない物理のダイナミズムを、グラフという「科学の目」を通すことで、リアルに実感できた瞬間でした。
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