磁石の不思議を解き明かせ!写真で記録する、効率&深掘り磁界実験ガイド
磁界の「見えない力」を可視化! iPad活用で差がつく磁界観察実験
磁石や電流の周りにできる「磁界」は、目に見えないだけに生徒にとってイメージしにくい概念ですよね。私も授業で「磁力線はN極からS極に向かうんだよ」「磁界の向きは方位磁針のN極が指す方向だよ」と説明するのですが、「なんとなくわかるけど、実際どうなってるの?」という生徒の疑問を完全に払拭するのは難しいと感じていました。
実は、磁界の様子を砂鉄で可視化する実験は、小学校で経験済みだと思われがちです。しかし、生徒に聞いてみると、必ずしも全員が経験しているわけではないのが現状です。だからこそ、中学校の理科で一度は取り入れる価値があるんです。この実験は、視覚的に磁界の存在を示すことで、生徒の理解を格段に深めることができます。
さらに、この実験にタブレットを組み合わせることで、磁界の様子を写真で記録しておけば、後でじっくりスケッチに取り組めますし、複数の実験を並行して行う際にも時間を有効活用できます。説明さえしっかりすれば、生徒たちは自分たちでどんどん実験を進め、スケッチまでこなしてくれるので、先生方の負担もぐっと軽くなりますよ。
「磁界の様子」を捉える!砂鉄とiPadを活用した実験ガイド
この実験は、砂鉄が磁力線の形に沿って並ぶ性質を利用して、目に見えない磁界を可視化します。iPadで記録することで、その後の考察活動も深まります。
授業準備での活用方法
この実験は、磁界の導入や、電流が作る磁界との比較学習に最適です。
- 導入時の興味喚起: 「磁石の周りには、目に見えない不思議な力があるけれど、どんな形をしているんだろう?」といった問いかけから始め、生徒の好奇心を刺激します。
- グループ学習の促進: 生徒をグループに分け、それぞれに実験を行わせることで、協力しながら探究する力を養います。
- 記録と考察の深化: iPadで写真を撮ることで、実験結果を詳細に記録し、後でゆっくりスケッチしたり、班ごとに結果を比較したりする際に役立ちます。
科学のレシピ:用意するもの
- 磁石:棒磁石、U字磁石など、複数の種類を用意すると、様々な磁界の形を観察できます。
- 実験用シート:白地の厚手の紙やプラスチック板など、砂鉄の模様が見えやすいものが良いでしょう。必要に応じて、磁石の形に合わせた印を付けておくと、生徒が迷わず実験を進められます。
- 方位磁針:磁界の向きを確認するために使います。各グループに複数個あると効率的です。
- 厚紙:磁石の上に置いて砂鉄をまく台にします。下から磁石の磁力が届く程度の厚さが適切です。
- 砂鉄ふりかけ:市販の砂鉄や、ホームセンターなどで手に入るものでも構いません。
- iPad(またはデジタルカメラ):磁界の様子を撮影し、記録するために使います。
実験手順(生徒への指示のポイントも!)
① 磁石を机の上におく
② その上に厚紙をおき、さらに実験用シートをおく
③ 砂鉄を高い位置からまく
④ 厚紙を軽く叩いて、模様をつくりiPadで写真をとる。
⑤ 磁界の向きをコンパスで確認する。
⑥ ふりかけた砂鉄はもう一度砂鉄ふりかけのケースに戻す。
理科の知識を深めるポイント:磁界の可視化とその意味
この実験を通じて、生徒たちは目に見えない「磁界」の存在を視覚的に捉え、その特性を実感することができます。
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磁力線の形状と方向の理解: 生徒たちが撮影した写真を見てみましょう。棒磁石ではN極からS極へ向かう曲線が、N極とN極を近づけた場合は互いに反発するような曲線が見られるはずです。これは、磁力線がどのような形をしているのか、そして磁力線が密集している場所(磁極付近)ほど磁力が強いことを視覚的に教えてくれます。 砂鉄の模様と方位磁針の向きを比較することで、**「磁力線の向き=方位磁針のN極が指す向き」**という重要な法則を体験的に理解できます。
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磁界の「重ね合わせ」: N極とN極を近づけた場合のように、複数の磁石の磁界が互いに影響し合い、合成された磁界の形(磁力線)が現れることを観察できます。これは、磁界が単独で存在するのではなく、他の磁界と「重ね合わせ」の状態になることを示唆し、より深い磁界の理解につながります。
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記録と考察の重要性: iPadで磁界の写真を撮ることで、生徒は時間を気にせず、じっくりと磁界の様子を観察し、スケッチに取り組めます。これは、科学的な記録の重要性と、実験結果から法則性を見出す考察力を養う上で非常に効果的です。時間的余裕が生まれることで、様々な種類の磁石や、電流が作る磁界の実験(コイルや導線など)もスムーズに入れ替えで行うことができ、より多くの発見を促せるでしょう。
この実験は、道具の準備も比較的簡単で、生徒自身が主体的に取り組める魅力があります。ぜひiPadなどのデジタルツールを効果的に活用し、生徒たちが磁界の奥深さに触れる、忘れられない理科の授業を創造してみてください!
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