1本の光が10本に?CDを再利用したレーザー光の干渉実験

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

音楽を聴くためのCDが、実は高度な「光の実験装置」だとしたら驚きませんか?ストリーミングが主流の今、棚の隅で眠っているCDは、物理学の不思議を手軽に体験させてくれる宝の山です。今日は、CDを使って1本のレーザー光をいくつもの光の束に増やす、まるで魔法のような実験をご紹介しましょう。

CDを傾けるとキラキラと虹色に輝きますが、よく見てみると、CDそのものに色がついているわけではありません。実は、CDの表面には目に見えないほど細かな「溝(トラック)」が並んでおり、そこで反射した光が「干渉」という現象を起こすことで、私たちの目に虹色として届くのです。

今日はそんなCDから「回折格子(かいせつこうし)」と呼ばれるパーツを取り出して、光の干渉を観察する実験に挑戦します。本校のI先生に教わって実際に試してみたところ、そのあまりの奥深さに私もびっくりしてしまいました。光を分ける「分光器」の作り方のヒントもあわせてお伝えします。

科学のレシピ:光を分ける回折格子の取り出し方

用意するもの

CD-R(書き込み前のものや、不要になったもの)、ハサミ

実験方法

実験はとても簡単ですが、少しだけ力がいります。

まずはCDをじょうぶなハサミで切り取ります。CDは意外と硬いので、ハサミの刃が欠けないように「金切りバサミ」などを使うことを強くおすすめします。

このように、扇形に切り出しましょう。プラスチックの破片が飛ぶことがあるので、目を保護し、手を切らないように注意してくださいね。

切り取ったら、表面の銀色のコーティング(反射層)を取り除きます。セロハンテープなどを貼って剥がすと、透明なプラスチック部分だけが残ります。この透明な板に、実はCDの命である「目に見えない溝」が残っているのです。

この透明になった破片に、レーザー光を当ててみましょう。安全のために市販のレーザーポインターを使用してください。

実験の結果:1本の光が「増える」理由

レーザーを当ててみると、あら不思議!まっすぐ進んでいた1本の光が、左右にいくつも分かれて映し出されます。

緑色のレーザー光でも試してみました。

なぜ光が増えるのでしょうか?それは、CDにある無数の細かな溝が、光の波をバラバラに跳ね返したり通したりするからです。分かれた光の波同士が、ある場所では「強め合い」、別の場所では「弱め合う」ことで、特定の方向にだけ強い光が飛び出していきます。これが光の干渉と呼ばれる現象です。

この仕組みを応用すると、光の中にどんな色が混ざっているかを調べる「分光器(ぶんこうき)」という道具を作ることができます。太陽の光や蛍光灯の光をこのCDの破片越しに覗くと、美しい虹の階段が見えるはずです。

ただ観察するだけでも楽しい実験ですが、「なぜ光が分かれるのか」「溝の間隔が変わるとどうなるのか」といった疑問を持って取り組むと、より深い科学の世界が見えてきます。身近なCDを使って、ぜひ光の芸術を楽しんでみてください。

お問い合わせ・ご依頼について

科学の不思議やおもしろさをもっと身近に!自宅でできる楽しい科学実験や、そのコツをわかりやすくまとめています。いろいろ検索してみてください!
・科学のネタ帳の内容が本になりました。詳しくはこちら
・運営者の桑子研についてはこちら
・各種ご依頼(執筆・講演・実験教室・TV監修・出演など)はこちら
・記事の更新情報はXで配信中

科学のネタチャンネルでは実験動画を配信中!