道具を使いこなす進化の形。ナリカサイエンスアカデミーICT編レポート

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

皆さんは、目に見えないはずの「磁界の向き」や「電気の流れ」が、もし目の前の風景に重なって見えたら面白いと思いませんか?かつてガリレオ・ガリレイが望遠鏡を使って宇宙の真実をのぞき見たように、現代の理科教育ではICT(情報通信技術)という新しい「レンズ」が、科学の学びを劇的に進化させています。

講座の様子

先日は後期第2回、ナリカサイエンスアカデミーICT編を開催いたしました。今回お集まりいただいた先生は8名です。当日は体調を崩された方も多く、残念ながら欠席された方もいらっしゃいましたが、少人数ならではの濃い学びの時間となりました。

今回の講座では、私が実際に自分の授業で試してみて「これは本当に効果がある!」と確信したものを厳選してご紹介しました。物理基礎に関連するICT活用がメインですが、他の教科や日常の校務でも役立つ便利なツールをたっぷりと詰め込んでいます。

具体的には、以下のような内容を実践形式で紹介しました。

・授業の質をグッと高めるウェブサービス ・タブレットを実験に導入する具体的なステップ ・AppleTVを使って教室をワイヤレス化する方法 ・生徒の興味を惹きつける動画作成ソフトのテクニック ・AR(拡張現実)技術を使い、プリントから教材が飛び出す仕掛け

最後にご紹介したパソコンの活用技術については、もっと深くお伝えしたかったのですが、熱が入ってしまい時間が足りなくなるほどでした。

「道具」を使いこなすことが進化の第一歩

理科の歴史を振り返ると、人類は常に「新しい道具」を手に入れることで、自然界のナゾを解き明かしてきました。顕微鏡が細胞を見つけ出し、分光器が星の成分を教えてくれたように、現代のICTもまた、私たちの思考を拡張してくれるツールです。

例えば、今では当たり前に使われているDropboxなどのクラウドサービスも、少し前までは「知っている人だけが得をする」魔法のようなツールでした。新しい技術は、使い始めこそ複雑に感じるかもしれませんが、一歩踏み出して使ってみることで、教育の効率は驚くほど変わります。

今はまだ「便利な道具」かもしれませんが、いずれは「使えないことが大きなデメリット」になる時代がやってきます。科学の進化と同じように、私たち教員も新しい技術に触れ、アップデートし続けることが大切だと感じています。

この講座でご紹介したアイデアを、ぜひ一つでも二つでも授業に取り入れてみてください。そして、ご自身のクラスに合う形に改良して、生徒たちがワクワクするような授業を作り上げていただければ幸いです。

ただし、ICT活用において最も大切なスタンスは、ICTはあくまで授業の補助道具であるという認識です。 実験の途中で設定がうまくいかなかったり、不具合で授業が止まってしまったりしては本末転倒です。大切なのは、「すべての技術を使うこと」ではなく、「知った上で、使うか使わないかを見極める」という姿勢ではないでしょうか。

受講者の感想

今回の講座のアンケート結果をご紹介します。

・たいへんよかった:6名 ・よかった:1名 ・期待したほどではなかった:1名

残念ながらすべてのニーズにお応えすることはできませんでしたが、いただいた貴重なご意見は次回の改善にしっかりと活かしていきたいと思います。特に、以下のような前向きな感想を多くいただけたのは嬉しい限りです。

・知らないことだらけで刺激になった。 ・役立つアイデアがあり、明日の授業から活用したい。

・未知の使い方を実際に操作しながら体験できた。 ・機械操作に苦手意識があったが、これならやってみたいと思えた。

・桑子先生の実践例が具体的で、明日から使える気がした。 ・自分の知らないアプリがこんなにあるのかと驚いた。

皆さんの「やってみたい!」という気持ちが、生徒たちの好奇心を刺激する一番のスパイスになります。次年度もICT講座の開講を計画しておりますので、ぜひまたお会いしましょう。夏休みなどには、ご依頼いただければ出張講座も承っております。昨年は浜松までお邪魔してきましたが、全国どこへでも伺いますので、お気軽にご相談ください。

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