見えない光を見えるようにする!レーザーとフォグマシンの光のショー
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
レーザーポインターを壁に向けると、赤や緑の点がぴかっと光ります。でも、ポインターから壁までの「光の道筋」は、ふつうは全く見えません。光は確かにそこを通っているのに、なぜ見えないのでしょうか。そして、教室の中にあっという間に雲を作り出し、光の道筋を浮かび上がらせる不思議な装置があるとしたら、使ってみたくなりませんか?
光の道筋は、ふつうは見えない
先日、中学1年生の授業で、光の道筋(レーザー光線の軌跡)を見てみました。普通にレーザーポインターを使っても、その道筋を見ることはできません。そこでレーザーの通り道に、黒板消しなどを使ってチョークの粉を飛ばします。部屋を暗くして実験をしてみると、このように光の道筋が見えます。

なお、チョークの粉を飛ばすので、できるだけ吸い込まないように、生徒を十分に離して行うなどの注意が必要です。線香の煙でも実演することができます。その場合は、水槽などに煙をためて、そこにレーザー光線をあててみてください。光のショーを観察してみましょう。レーザー光線は目に入ると危険なので、人の顔や目には絶対に向けないことも大切です。
なぜ粉や煙があると光が見えるの?
私たちが「見える」と感じるのは、光が目に飛び込んできたときです。レーザー光線は、きれいにまっすぐ進むため、何もない空気中では、光は横にいる私たちの目には届きません。だから、道筋が見えないのです。
ところが、光の通り道にチョークの粉や煙の粒があると、光が粒にぶつかって四方八方に散らばります。これを光の散乱といいます。散らばった光の一部が私たちの目に届くので、粒が光って見え、結果として光の道筋が浮かび上がるわけです。
実はこれと同じ現象は、身近なところでも見られます。雲の切れ間から太陽の光が何本もの筋になって地上に降りそそぐ「天使のはしご」も、空気中の水滴やちりが光を散らしているから見えるのです。教室のレーザーは、あの景色のミニチュア版といえますね。
粉を吸わせたくない…そこで登場、フォグマシン
ただ、子どもたちにチョークの粉を吸わせるのは、あまりよい気持ちがしませんでした。そこで使い始めたのがフォグマシンです。

フォグマシンは、グリセリンと水を1対1で混ぜるだけで雲を発生させることができる、舞台演出などで使われる装置です。こちらを1つ買っておくと、あっという間に教室の中を雲だらけにすることができます。
フォグマシンは、どうやって雲を作っているの?
フォグマシンの仕組みは、「熱して蒸気にして、冷やして小さな水滴にする」という流れです。
まず、機械の中のヒーターで、グリセリンと水の混ざった液体を熱し、蒸気にします。この蒸気が、機械の噴き出し口から勢いよく外に出ます。すると、まわりの冷たい空気に触れて急激に冷やされ、蒸気は目に見えないほど小さな液体の粒(微粒子)に変わります。この無数の小さな粒が空気中に浮かんで、白くもくもくとした「雲」に見えるのです。
実は、自然の雲もほとんど同じ仕組みでできています。地面や海から蒸発した水蒸気が上空で冷やされて、小さな水滴になる。それが集まったものが雲です。ちなみに、地面近くにできた雲のことを、私たちは「霧」と呼んでいます。フォグマシン(fog=霧)の名前は、そこから来ているのですね。
では、なぜグリセリンを混ぜるのでしょうか。グリセリンは水と違って蒸発しにくく、粒が長いあいだ消えずに空気中にただよいます。そのため、水だけのときより、雲が長持ちするのです。
光のショーを、もっと安全に、もっと美しく
フォグマシンで教室に雲を作ってレーザー光線を通すと、チョークの粉よりもはるかにくっきりと、光の道筋が見えます。鏡や凸レンズ、ガラスを使えば、光が反射したり、折れ曲がったり、集まったりする様子が、立体的にはっきりと見えてきます。教科書の図でしか見られなかった光の進み方を、自分の目で確かめられるのは、実験ならではの面白さですね。
見えないものを見えるようにする。これも、理科の大切な工夫のひとつです。みなさんも、光が通る道筋に、どんな粒があるのかを想像しながら、身の回りの光を観察してみてください。
フォグマシンは空気砲にも使えて便利ですよ!
お問い合わせ・ご依頼について
科学の不思議やおもしろさをもっと身近に!自宅でできる楽しい科学実験や、そのコツをわかりやすくまとめています。いろいろ検索してみてください!
・科学のネタ帳の内容が本になりました。詳しくはこちら
・運営者の桑子研についてはこちら
・各種ご依頼(執筆・講演・実験教室・TV監修・出演など)はこちら
・記事の更新情報はXで配信中!
科学のネタチャンネルでは実験動画を配信中!
テレビ番組監修・イベント等のお知らせ
- 「ネイチャーティーチャー」(TBS)に出演しました。Tverにて11月3日(火)まで配信中です。

- サタプラ(MBS)にて「日常に潜む!ピンチ脱出法について」のコーナーに出演しました。Tverにて11月7日(土)まで配信中です。

- 11月4日(水) ZIP(日本テレビ)7:20頃放送予定(科学監修)
- 11月27日(金) テレビ監修番組放送予定
- 12月26日(土) ナリカサイエンスアカデミー(教員向け実験講習会)開催
11月のイチオシ実験!
どうして結露は起こるのか?結露を防ぐためには?実験で確かめよう!

書籍のお知らせ
- 『高校入試 分解問題集 理科』(学研)…難しい問題も小さな問題に分解することで、問題を解くことができます。そんな分解の技術が身につくように深く関わりを持って作りました。
『大人のための高校物理復習帳』(講談社)…一般向けに日常の物理について公式を元に紐解きました。特設サイトでは実験を多数紹介しています。※増刷がかかり6刷となりました(2026/02/01)
- 『きめる!共通テスト 物理基礎 改訂版』(学研)… 高校物理の参考書です。イラストを多くしてイメージが持てるように描きました。授業についていけない、物理が苦手、そんな生徒におすすめです。特設サイトはこちら。

各種SNS(更新情報をお届け!)
【日本語】X(Twitter)/instagram/Facebook 【英語】BlueSky/Threads
Explore
- 楽しい実験…お子さんと一緒に夢中になれるイチオシの科学実験を多数紹介しています。また、高校物理の理解を深めるための動画教材も用意しました。
- 理科の教材… 理科教師をバックアップ!授業の質を高め、準備を効率化するための選りすぐりの教材を紹介しています。
- Youtube…科学実験等の動画を配信しています。
- 科学ラジオ …科学トピックをほぼ毎日配信中!AI技術を駆使して作成した「耳で楽しむ科学」をお届けします。
- 講演 …全国各地で実験講習会・サイエンスショー等を行っています。
- About …「科学のネタ帳」のコンセプトや、運営者である桑子研のプロフィール・想いをまとめています。
- お問い合わせ …実験教室のご依頼、執筆・講演の相談、科学監修等はこちらのフォームからお寄せください。
- つながっていないのに光る! コイルの上のLEDが一瞬だけ点灯する相互誘導の不思議
- たった2つの設定でタイピングが激変! Macの「キーのリピート」を試してみた
- 3色の光で白をつくる! 生徒が思わず声をあげた「3色LEDライト」の魅力
- 台所洗剤をぬるだけで窓の結露が消える!? 水滴が広がる科学のひみつ
- 【監修・出演】そで口に安全ピンをつけると静電気が逃げる? サタプラ(TBS)
- 【執筆】サクセス15秋増刊号 塩酸には酸素がない!「酸」の正体は水素イオンだった
- 黒い粉から銀が出てくる!酸化銀の熱分解で「金属の証拠」を集めよう
- 置くだけで充電できる秘密は?ワイヤレス充電器を分解してみた!
- 曇りの日でも実験できる!オオカナダモと紫のライト











