パパ・ママ必読!子供の「なぜ?」に答えられる『すごい家電』の読み方
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
しんとした夜のキッチンで、冷蔵庫から聞こえる「ブーーン」という低い音。みなさんも一度は気になったことがあるのではないでしょうか?夏の暑い日、小さいころのぼくは冷蔵庫の近くの床に寝転び、ひんやりとした空気を感じながら、その音に耳を近づけていました。
恐ろしい唸り声のようにも聞こえるけれど、まるで生き物の心臓の音のようでもあり、なぜかずっと聞いていたくなる……。 そんなふうに寝転んでいるぼくを見て、母がよく怪訝な顔をしていたのを懐かしく思い出します。あの「ブーーン」という音の正体、それは冷蔵庫が一生懸命に「熱」を外に運び出している音だったのです。
さて先日、そんな家電の謎解きにぴったりの『すごい家電』(ブルーバックス)という本を買いました。

講談社のブルーバックスといえば、硬派な科学新書のイメージがありますが、この表紙を見て「ブルーバックスっぽくないな~」と思いつつ手に取りました。しかし、家電の豆知識が豊富なところと、なによりパナソニックの現役社員の方に取材を重ねて書かれているという点に惹かれました。机上の空論ではない、現場のエンジニアの知恵が詰まっていそうだと思い読んでみましたが、
これが、
大正解
でした!
教科書には載っていない「生きた科学」
この本には、家電の科学的な仕組みについて詳しく書かれているのはもちろんですが、中でも面白かったのはその周辺知識や開発秘話です(さすがパナソニックの社員さんに取材をしただけはあります)。

例えば冷蔵庫の冷却システム。これは「ヒートポンプ」という技術が使われています。 ヒートポンプとは、その名の通り「熱(ヒート)」を「汲み上げる(ポンプ)」仕組みのこと。冷蔵庫は「冷たい空気を作っている」のではなく、「箱の中にある熱を外に汲み出して捨てている」から冷えるのです。

目に見えない「熱」をボールで示しているのが面白い工夫だなと感じました。非常にわかりやすいですね。
エンジニアの苦悩と工夫の歴史
また、科学的な原理だけでなく、技術的な進化の歴史も興味深いです。 昔の冷蔵庫は「冷凍室」が上についているのが当たり前でした。しかし、今の冷蔵庫の多くは冷凍室が下にありますよね。実は、冷凍室を下に移動させるだけでも、技術者にとっては大きな挑戦でした。冷たい空気は下にたまる性質があるため、冷却効率や配管の問題など、多くの課題があったのです。そうした技術者の視点での記載がとてもリアルです。さらに、野菜室や冷凍室を「引き出し式」にして下部に配置した際、いかにして 「収納できる容量(容積)」を増やすか という工夫には感動しました。

引き出しのレールを「底面」に配置したのがポイントなんだとか。 な〜んだと思うかもしれませんが、 当時は一般的ではなかったのだそうです。
レールを横につけると、その分だけ引き出しの幅が狭くなってしまいます。レールを底に敷くことで、ギリギリまで横幅を広げて容量を確保する。 細かく書かれていますが、こうした「あと数センチを稼ぐための執念」こそが、日本の家電のすごいところだと感じます。これは一般的な解説書の域を超えて、誰かに話をしたくなるような本です。理科の授業で生徒に話すネタとしても、もちろん活躍しそう!

家電は「もっとも身近な物理教材」
数学を学ばせるときに、微分積分と物理をつかって身近に感じさせ、学習意欲をあげる方法があります。 それと同じように、物理を学ばせるときに、毎日使う「家電」を通して科学を身近に感じさせることができますよね。冷蔵庫の裏が熱いのはなぜ? 掃除機がゴミを吸う仕組みは? そんな、こどものふとした疑問に答えることのできる1冊です。 理科の先生はもちろん、お父さん、お母さんもぜひご一読ください。きっと、家の中の景色が少し変わって見えるはずです。
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