教室の蛍光灯だけで月38万円?「くらしTEPCO」で学ぶ電力単元のリアル

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

自分の家の電気代、毎月どんなふうに変わっているか、グラフでちゃんと見たことはありますか。実は、それを一発で見える化してくれる便利なサイトがあります。「くらしTEPCO」というサイトを知っていますか。
中学や高校では、電磁気学の電力に関する単元も学習しますが、

Q=IVt、W=IVt、P=IV

などなど、数式がたくさんでてくるところでもあり、生徒としては興味の湧きにくい単元でもあります。そこで使えるのが「くらしTEPCO」というサイトです。実際に私の家での電気代がいくらかかったのかがグラフとなって現れます。

青が一般家庭、オレンジが自分の家の様子です。太陽光をつけたので、うちは一般家庭よりはだいぶ抑えられていることがわかります。右下のボタンを押すとkWh単位になります。


例えば私の家では150kWh使っていて、5463円の請求があったということです。単純計算で1kWhあたりが36円くらいとなりますね。実は東京電力の料金は使う量に応じて段階的に単価が上がる仕組みになっていて、目安として1kWhあたりおよそ30円から40円というのが実際の幅です。

使用量が少ないうちは安く、多く使うほど1kWhあたりの単価が上がっていくしくみなので、私の家の36円という数字は、その平均くらいの値だったというわけですね。

1kWh=36円

とおぼえてみてはいかがでしょうか。ざっくりとした目安として扱うにはちょうどよい数字です。

kWhという単位、実は歴史のかたまりです

ところで、この「kWh(キロワット時)」という単位、よく考えるとちょっと不思議な形をしています。W(ワット)は仕事率、つまり1秒間にどれだけのエネルギーを使うかを表す単位で、そこに時間(h)をかけることで、結局は使ったエネルギーの総量を表しているのです。ワットという単位名は、蒸気機関を改良したジェームズ・ワットにちなんでつけられました。

ワット以前は、馬がどれだけ荷物を引けるかを基準にした「馬力」という単位が使われており、ワット自身も自分の蒸気機関の性能を宣伝するために馬力との比較を行っていたと言われています。1馬力はおよそ746ワットに相当し、今でも自動車のエンジン性能の表示に名残が残っています。ちなみに人間の体が安静時に消費するエネルギーはおよそ60から100ワット程度ですので、白熱電球1個とだいたい同じくらいのパワーで、私たちの体は日々活動していることになります。

これを使うと簡単な計算ができます。たとえば、私はこんな問題を生徒と一緒に考えています。

教室の蛍光灯は1本35Wですね。1kWhは東京電力ではおよそ36円です。教室には20本の蛍光灯がついています。教室の電気を朝8時から夕方6時まで10時間つけっぱなしにする生活を、30日続けたとします。これを中高全ての教室数(約50教室)で考えると、学校はいくら電気代を払う必要があるか計算してみましょう。

計算をしてみると…、

35(W)×20(本)×10(h)÷1000=7(kWh)

7(kWh)×36(円)=252(円)

となります。これを学校の教室数で考えて、1カ月とすると、、、

252円×50教室×30日=378000円(37万8千円!)

となります。蛍光灯だけで38万円!結構かかることがわかりますね!さあ、LEDにしようとなるわけです。生徒が身近に感じられるのではないでしょうか。

LEDにすると、なぜそんなに得なのか

実際、同じ明るさを出すLED照明は、蛍光灯のおよそ半分から3分の1程度の消費電力ですむと言われています。数字で言うと、蛍光灯は1ワットあたりおよそ70〜100ルーメンの光を出すのに対し、LEDは1ワットあたり130〜200ルーメンほど出せます。つまり同じ明るさを得るのに必要な電力(ワット数)が半分近くまで下がる、というイメージです。

もし先ほどの教室の蛍光灯をすべてLEDに置き換えたとすると、単純計算でも月の電気代は20万円近く浮く計算になります。これは電気代の節約だけでなく、発電のために燃やす燃料の量が減るということでもあり、教室の照明ひとつをとっても、身の回りの選択がエネルギー問題や環境問題とつながっていることに気づかせてくれます。

さらにくらしTEPCOでは1日の電気の使用状況についても見ることができます。

こうしたグラフを見ると、実は電源を切っているつもりの家電が、待機状態でもわずかに電力を使い続けている「待機電力」の存在にも気づくことがあります。深夜、誰も電気を使っていないはずの時間帯に消費量がゼロにならない場合、それは家じゅうの家電が少しずつ電気を食べ続けている証拠かもしれません。数式で電力を学ぶだけでなく、自分の家のデータを実際に眺めてみることで、教科書の中の電気が、暮らしの中の電気とつながって見えてくるのではないかと思います。

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