あなたの直感は間違ってる? 作用反作用の法則を徹底解説!(直感的にわかりにくい例)

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

作用反作用の法則:ゾウとゴリラの相撲対決で考える!

今日は皆さんにちょっとした「力」にまつわるクイズを出したいと思います。想像してみてください。もし、あの巨大なゾウと、パワフルなゴリラが相撲で対決したらどうなるでしょうか? ドッスーン!とぶつかり合い、ゾウがゴリラをぐいぐい押している、そんな場面を思い浮かべてみましょう。

この時、ゾウがゴリラを押す力と、ゴリラがゾウを押し返す力、一体どちらの力が大きいと思いますか?

「いやいや、そりゃあゾウの方が力が強いんだから、ゾウが押す力の方が大きいんじゃないの?」

多くの方が、そう直感的に考えてしまうのではないでしょうか? でも、ちょっと待ってください! ここに、私たちの日常生活ではなかなか意識しにくい、そして多くの人が混同しやすい、物理の面白い落とし穴が隠されているんです。それが、今日のテーマである「作用反作用の法則」です。

「作用反作用の法則」とは?

結論から言うと、ゾウがゴリラを押す力と、ゴリラがゾウを押し返す力は、常に同じ大きさなんです!

びっくりしましたか? これが、かの有名なニュートンの第三法則、すなわち「作用反作用の法則」と呼ばれるものです。

この法則は、次のように定義されます。

「物体Aが物体Bに力を及ぼすとき、物体Bは物体Aに、同じ大きさで逆向きの力を及ぼす。」

簡単に言えば、「押したら押し返される」「引いたら引き返される」ということです。壁を押せば壁も押し返すし、地球が私たちを引力で引っ張れば、私たちも地球を同じ力で引っ張っているんです(もちろん、質量が桁違いなので地球はびくともしませんが!)。

ゾウとゴリラの相撲の例に戻りましょう。ゾウがゴリラに「作用」として力を与えると、ゴリラはゾウに全く同じ大きさの「反作用」として力を返すのです。

じゃあ、なぜゾウは動くの? ゴリラは後ずさりするの?

「でも先生、だったらゾウもゴリラも動かないんじゃないですか? 実際にはゾウはゴリラを押して進むし、ゴリラは後ずさりしますよね?」

ごもっともな疑問です! ここで多くの人が混乱してしまうのが、「作用反作用の法則」と「力のつり合い」の混同です。

  • 作用反作用の法則異なる物体間に働く「ペアの力」について述べています。ゾウがゴリラに与える力と、ゴリラがゾウに与える力、この2つの力が作用反作用の関係です。
  • 力のつり合い一つの物体に働く複数の力が互いに打ち消し合い、その物体の運動状態が変わらない(静止しているか、等速直線運動をしているか)状態を指します。

ゾウが前に動くのは、ゾウに働く力、つまり地面とゾウの足の間の摩擦力が、ゴリラから押し返される力よりも大きいためです。ゾウは、その大きな体と足で地面を強く蹴り、大きな摩擦力を生み出すことで、ゴリラからの反作用の力に打ち勝って前進できるのです。

一方、ゴリラが後ずさりするのは、ゴリラに働く地面とゴリラの足の間の摩擦力が、ゾウから押される力(作用力)よりも小さいためです。ゾウに押される力に対して、ゴリラ自身の摩擦力では支えきれず、結果として後方へ動いてしまうわけです。

身近な現象で考える作用反作用

作用反作用の法則は、私たちの身の回りにあふれています。

  • ロケットの推進:燃焼ガスを後方に噴射する「作用」によって、ロケットは前方に進む「反作用」の力を受けます。
  • 歩くとき:地面を後ろに蹴る「作用」によって、地面から前方に進む「反作用」の力を受けます。
  • 銃の発射:弾丸を前方に打ち出す「作用」によって、銃は後方に反動(リコイル)として「反作用」の力を受けます。

どうですか? 日常の何気ない現象の中に、こんなにも物理の法則が隠されているなんて、なんだかワクワクしてきませんか?

今回のゾウとゴリラの相撲問題は、作用反作用の法則と力のつり合いという、物理学の基本的ながらも奥深い概念を理解するのにとても良い問題だったと思います。ぜひ、今日の学びを活かして、身の回りの「力」について、もう一度じっくり観察してみてくださいね!

この問題に関しては、大学入学共通テストでも同じように出題されています。

 

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