植物分類の落とし穴!平行脈なのに双子葉類?ヘラオオバコを授業で確かめよう!
「ヘラオオバコの観察授業」— 双子葉類?単子葉類?分類の常識を超える植物を探る!
中学校の理科で「双子葉類」と「単子葉類」の違いを学ぶとき、生徒たちには「子葉の枚数」「葉脈の形」「根の構造」が分類のポイントだと教えます。しかし、実際に野外で観察すると、「これ、どっちなの?」と迷う植物に出会うことがあります。
そんなときに授業で取り上げたいのがヘラオオバコです。先日、フィールドワーク中に見つけたヘラオオバコを観察してみると、**双子葉類の特徴(主根と側根)**を持ちながら、**単子葉類の特徴(平行脈)**を持っていることに気づきました。このような「分類の例外」を見つけると、生徒たちに考えさせる良いきっかけになります。
今回は、ヘラオオバコを教材にした観察授業を紹介します。授業準備のポイントや実践方法をまとめましたので、ぜひ活用してください!
授業準備と進め方
1. 事前準備
✅ 必要なもの
• ヘラオオバコの採取(事前に野外で準備 or 校庭で生徒と一緒に採取)
• ルーペ(葉脈や花の細部を観察するため)
• スケッチ用紙・筆記用具(観察記録を取るため)
• 根の構造を確認するための水(採取後に土を落とす)
✅ ヘラオオバコが見つかる場所
• 校庭や道端、河川敷などの空き地 → よく踏まれる場所でも生育する
• 春から秋にかけて開花(特に5~6月が観察に適している)
2. 授業の流れ
① 双子葉類と単子葉類の分類を復習
まずは、生徒に「植物を分類するための特徴」を整理させます。
✅ 双子葉類の特徴
• 子葉が2枚
• 葉脈が網状脈
• 根が主根と側根
✅ 単子葉類の特徴
• 子葉が1枚
• 葉脈が平行脈
• 根がひげ根
ここで、「植物の分類は明確に分かれる」と思っている生徒も多いので、「実は例外がある」という視点を導入します。
② ヘラオオバコの観察
実物のヘラオオバコを手に取り、以下のポイントを生徒と確認します。
✅ 根の構造 → 双子葉類の特徴(主根と側根)
✅ 葉脈の形 → 単子葉類の特徴(平行脈)
双子葉類の特徴がありつつも、平行脈をもっているということです。
ここで、生徒に「どちらのグループに分類されるか?」と問いかけ、なぜこうなっているのか考えさせるのがポイントです。
③ ヘラオオバコの分類と進化の視点
実は、ヘラオオバコは「双子葉類に分類されるが、平行脈を持つ」という植物です。このような例外がある理由を考えると、植物の進化や分類の曖昧さについての理解が深まります。
• 葉脈が平行脈の理由は? → 進化の過程で適応した可能性がある
• 植物の分類は必ずしも明確に分けられない? → 「中間的な特徴を持つ植物」も存在する
このように、生徒に「例外がある理由を考えさせる」ことで、理科の授業を**「暗記」ではなく「探究」へと発展させる**ことができます。
授業のポイントと発展学習
✅ 「例外的な植物を探してみよう!」
• 他にも「分類の例外」となる植物を調べてみる(例:スイバ、スギナ など)
• 植物の分類は絶対ではなく、進化の過程で変化することがあることを理解する
✅ 「身近な植物の観察」プロジェクト
• 校庭や近所で「葉脈や根の形を調べてみる」
• どんな植物が双子葉類なのか、単子葉類なのかを実際に確かめる
まとめ
ヘラオオバコは、「双子葉類の特徴(主根・側根)」と「単子葉類の特徴(平行脈)」を持つ不思議な植物です。このような例外的な植物を観察することで、生徒が分類の概念を深く理解し、進化の視点を持つきっかけになります。授業では、実物を観察しながら、生徒に分類の難しさや進化の適応について考えさせることがポイントです。ぜひ、身近な植物を使った観察授業を実践し、「不思議だな!」という好奇心を引き出してみてください!
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