なぬ!タバコの煙の色を白や青に変える実験
ぼくが大好きな本の中に、アメリカのマサチューセッツ工科大学教授のウォルター・ルーウィン先生が執筆した
「これが物理学だ!」があります。
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この本に衝撃を受け、ルーウィン先生の授業の動画DVDを買って、授業の様子を研究しました。
大学教授がここまで授業や演示実験に力を入れていることに驚きましたし、
モンキーハンティングの実演では実際にハンターの格好をすることや、実験機器を大型にしてわかりやすくするなど、
そのサービス精神にも驚きました。
ぜひ教員にかかわらず、お子さんをお持ちの全ての方に読んで欲しい本です。
「物理」といっても、難しい記述はなく、とにかく楽しさと知的な要素であふれた本です。
今日はこの本にのっていた実験を自分なりにアレンジをしたので、ご紹介したいと思います。
この本のP25には次のような実験が紹介されてます。
じつに心躍る実演のひとつに、ひとかけらの”青空”を教室内に生じさせる、というものがある。
とびきり明るいスポットライトの白い光を当てる。スポットライトは、ていねいに囲いがしてある。
次に、私は数本の煙草に火をつけ、光の中でささげ持つ。煙の粒子は、レイリー散乱を生じさせるに足るほど小さく、青い光がいちばん散乱するので、学生たちは青い煙を見ることになる。
さらに、実演をもう一段階先に進める。
わたしはその煙を吸い込んで、一分程度、肺にとどめておく。必ずしもたやすいことではないが、科学はしばしば犠牲的精神を要求するものだ。さて1分が経過し、私は光の中に煙を吐き出す。
学生たちが目にするのは白い煙 ー そう、私は白い雲を作ったのだ。
微小な煙の粒子が、私の肺内の水蒸気で膨れ上がったというわけだ。だから七色すべてが等分に散乱し、飛び散る光は白い色。
というものがあります。なんて素敵な!そして情景を見てみたい!そんな実験ですよね。
実際にやってみました。
予備実験として、煙草を友人から借り(普段は吸わない)、吸ってみて(咳き込みました汗。何度か練習をして)、肺の中にとどめて、吐き出すと、わずかに白い煙になりました。
これは面白い!でも授業でやるにはちょっと・・・。というのも、自分への負担もありますが、
高校生に煙草をつかった実演をするというのは、
なんとなく抵抗があって、嫌だったんですね。
というわけで今回はこの散乱の実験をもっと手軽に行う方法についてご紹介します。
科学のレシピ
用意するもの:線香、ペットボトル、マッチ、水
手順:
1 部屋を暗くして、線香の煙を白色のライトで照らす。うっすら青色になるのを確認する。
2 ペットボトルに線香の煙を入れて、水を入れてよく降る。
3 ペットボトルのフタをとり、ペットボトルを軽く押して煙をだして、線香の煙の色を比較する。
実験の結果
まずはこちらの動画を御覧ください。
ペットボトルから渦輪が出来てしまいます(渦輪の実験にもなりますね!)
が、そこではなく、色を比べます。
たしかに色が違うのがよくわかりますね。たばこの煙は青、渦輪は白。
渦輪の厚みのせいかもしれないので、渦輪できないで出たときの写真と比較すると、
と、このように線香の煙は青、ペットボトルの煙は白になりました。
おそらくペットボトルの煙は雲にはなりきれていないものも入っていると思います。
ただ、雲になっているものもあるので、白色になっていると考えられます。
いかがでしたか?LEDライトで照らしてみたのですが、動画のように蛍光灯でもいけました。
実際に授業でやってみると、大いに盛り上がりました。演示としては蛍光灯のほうがみんなが見えるのでよさそう。
これなら、煙草もつかわないし、自宅でもできますね。
物理室でひっそりと予備実験を重ねてから、
授業にいったら生徒からは、「うちのおばあちゃんの臭がする」なんていわれてしまいましたが(^^;)
ぜひご家庭でも試してみてくださいね!
ちなみによくメールで問い合わせがくるのですが、ここで紹介をしている実験は、
イチから私が思いついたものではありません。
私がこのブログで公開している実験については、
ルーウィン先生のほかに、一緒に仕事をさせていただいた東京書籍の編集委員の先生方、
研究会で出会った様々な先生方から意義や方法を教えていただいたものがベースになっています。
また大きく影響を受けたのはナリカサイエンスアカデミーの
小森栄治先生の「感動する実験」です。
これらの経験から、現在の実験主体の授業へとつながっています。
私がここで紹介をしている実験の多くは、イチからアイデアを出したわけではなく、
本や先生方から教えていただいた実験を実際にやってみて、より身近なものに置き換えたり、
今ならスマホで何かできるのかな?と考えたり、
授業に取り入れるためのより良い方歩を模索して、ご紹介しています。
知らないことがたくさんあります。ぜひみなさんも色々教えて下さい(^^)
いっしょに理科を盛り上げていきましょう!
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