教え方がうまくなるコツは、小説を読むことにある!?
うまく相手に伝わる話し方ができていますか?
対象者に伝わるように説明をするのってとっても難しいですよね。ぼくはもともと滑舌が悪い、そして早口で
せっかちな正確です。
それもあって、嫌われましたよ〜、女の子の生徒に。
でも今も嫌われているところはあると思いますが、前よりは減ったかもしれません。
それは早口がなおったわけではなく、説明の仕方をいろいろと変えてきたとによります。
例えば、授業の中で発電の仕組みである電磁誘導について説明をしていたときのことです。
電磁誘導とは導線をまるめたコイルの近くで磁石を動かすと、電気が流れるという現象です。少し物理の話になってしまって申し訳ないのですあ、簡単に電磁誘導について説明をさせてください。
コイルに電流を流すと、コイルは磁石になります。これが電磁石です。
逆にコイルには電流を流さずに、今度はコイルに磁石を近づけてみます。するとコイルを貫く磁場の変化を打ち消す向きに電流が流れます。これが電磁誘導です。
電磁誘導は、このように身近にない不思議な現象なので、生徒に説明をするのはとても苦労します。電磁誘導を黒板や説明だけで説明をするのはとても難しいので、必ず実験をして現象を見せてから、黒板で説明をするようにしています。
しかしそれでもテストをすると、なかなかどちら向きに電流が流れるのかが答えられません。
「あんなに説明をして、実験まで見せたのに!?」
「まったくもう!ぜんぜん聞いていないんだから!」
と当時は思っていたのですが、教え手は常に自分の責任を考えなければいけません。
どうすればよく伝わるのか、考えました。対象者は女の子、どんなことが好きなのだろう?
そして次のような説明をするようにしています。
「電磁誘導は複雑な乙女心だと思ってくださいね。磁石が男の子(磁石君)、コイルが女の子(コイルちゃん)だと思ってください。ジシャク君がコイルちゃんにもうアタック。近寄っていくと、コイルちゃんは、
「こっちにこないで!」
と反発します。つまりNが近づくと、コイルの磁石に近いほうはN極になるように、電流は流れます。
ジシャク君ががっかりとして、コイルちゃんから離れていきます。するとコイルちゃんは
「あ!待って!!」
とジシャク君を引きつけようとします。コイルの磁石に近いほうがS極となるように電流が流れます。」
というような感じで説明をすると、結構うまくいくことがわかりました(この例については、先日出した物理基礎の本にかきました)。
こんな説明を付け足すことにしました。するとテストで間違える生徒が激減したのです。
この例からわかることは、教え手の身近にないことを教えるときには、教え手にとって身近に感じているもの、興味をもつことを細かく知る必要があるということですね。
電磁誘導では恋愛を例にして話をしましたが、私が教えている生徒は高校生であり、女の子なので、これがよく伝わったのだと思います。
しかし、環境によっては、必ずしもこの例が適切とはいえないでしょう。
聞き手の性別・年齢・文化、そういったものをよく知ること、どんな経験を過去にしてきて、どんな話題なら重ね合わせることができるのか、このことを見つけることができれば、
実は教えるのは簡単です。
でもそれが難しい。理科の先生はぼくも含めて、自分の好きなものにまっしぐら!という一種のオタクが多いからだと思います(笑)。でも、見つけるだけの価値があります。
ではどうやって見つけるといいのか?
生徒とよく話をすること、生徒が見るテレビ番組をみること、こういったことはもちろんのことなのですが、やはり
小説を読んで、いろいろな登場人物の心の中を覗きこむという経験
これがとっても大切なんだと思います。最近よんだホンダと「楽園のカンヴァス」なんか、最高の教材だな〜なんて思って読みました。
理系教師であっても本をよむ、想像する、覗きこむ、こういったことはとっても大切だなと思っています。
今日のオススメ
これすっごい面白かったです。
楽園のカンヴァス
原田 マハ
次の科学のタネ
文系、女の子向けの本です。対象を絞って書きました。
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