黒板消しと霧吹きが、光の刀を作り出す?SF映画のような実験をやってみよう!

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

みなさんは光の「正体」を見たことがありますか?
映画やアニメのワンシーンで、暗闇を切り裂くような鮮やかなレーザー光線を目にすることがありますよね。しかし、実は現実の世界では、光そのものは何かにぶつからない限り、私たちの目には見えないという不思議な性質を持っています。

例えば、空気が澄み切った宇宙空間でレーザーを放っても、その横顔(道すじ)を見ることはできません。光が「そこにある」と気づくのは、常に何かに反射して私たちの瞳に飛び込んできた時だけなのです。実は教室や家庭にある身近な道具でも、この「光の道すじ」を鮮やかに浮かび上がらせることができるのです。今回は、驚きの2つの方法をご紹介しましょう。

科学のレシピ

準備するのは、たったこれだけです。 ・レーザーポインター ・黒板消し(チョークの粉がついているもの) ・霧吹き(水を入れたもの)

方法1:黒板消しの「粉」で光を捕まえる

一つ目は、学校の教室ですぐに試せるダイナミックな方法です。レーザー光を照射している空間で、黒板消し同士を「パンパン!」と叩いてみてください。すると、それまで何もなかったはずの空間に、一瞬にして真っ赤な光の刀が現れます。

こちらの映像で、その魔法のような瞬間を確かめてみてください。

映像では一瞬ですが、実際に目の前で見ると、浮遊するチョークの細かな粉の一つひとつが光を反射し、見事な直線を描き出します。これは科学の世界で「チンダル現象」と呼ばれる現象に近いもので、小さな粒子が光を散乱させることで、本来見えないはずの光の通り道が浮かび上がるのです。

方法2:霧吹きの「ミスト」で宝石のような輝きを

ただし、チョークの粉を使う方法は、掃除が大変だったり、生徒のみなさんが粉っぽさを嫌がったりすることもありますよね。そんな時にオススメなのが、「霧吹き」を使ったクリーンな実験です。水を細かな霧状にしてレーザーの通り道に吹きかけると、水滴が一つひとつの小さな鏡のような役割を果たし、光をキラキラと反射させます。チョークの粉よりも滞空時間は短いですが、光が水に反射して輝く様子はとても美しく、班ごとの実験にも最適です。

さらに楽しむためのヒント

この実験をさらに面白くするには、「鏡」を組み合わせてみてください。 鏡に向かってレーザーを放ち、その周辺で霧吹きをしたりチョークの粉を舞わせたりすると、光が「反射の法則」に従ってカクカクと折れ曲がっていく様子が手に取るようにわかります。「光は直進する」という教科書の知識が、目の前でドラマチックな体験へと変わる瞬間です。ぜひ、光の隠れた姿を探してみてくださいね!

光を閉じ込めろ!傘袋とレーザーで作る「魔法のチューブ」実験

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