成功の9割は準備で決まる!現役実験講師の「失敗ゼロ」の最強チェックリスト

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

目の前の参加者が「わかった!」「すごい!」と目を輝かせる瞬間。それこそが、科学実験教室の最大の醍醐味ですよね。しかし、その「魔法のような時間」が、一瞬で「悪夢」に変わる瞬間があります。それは、「あ、プロジェクターのケーブルが合わない…」「予備の道具がない!」という、ささいな準備ミスから生まれます。

最高の科学実験も、成功の9割は「準備」にかかっています。今日は、その「9割」を完璧にし、失敗を科学的に防ぐための、プロが現場で必ず確認している「最強のチェックリスト」をご紹介します。私が色々なプロから聞いてまとめたチェックリストです。私もこれを参考にして準備をしています。

準備の科学:なぜ最低1時間前なのか?

新しい会場、見慣れない機材…実験の現場は「未知の変数」だらけです。慣れていない会場の場合、準備の時間は最低でも講座開始1時間前に行うことを強くおすすめします。これは、机の配置、電源の場所、PCとプロジェクタの接続テストなど、必ず起こりうる「想定外」をすべて吸収するための、講師としての「バッファータイム(緩衝時間)」なのです。

講座前のチェックリスト

リストを「運営者(会場側)に依頼するもの」と「個人(自分)で持ち込むもの」に分けて確認するのが、漏れを防ぐコツです。

運営者がいる場合用意をしてもらうもの(いれば)

  • セミナーのポスター
  • 参加者名簿(受付用)
  • 領収書(必要な場合)
  • プロジェクタ(差込口の確認 HDMI or アナログRGB の確認を忘れずに)
  • 延長コード(電源の位置は常に想定外の場所にあります)
  • 名札と名札ケース

個人で用意するもの(これが無ければ始まらない!)

  • 実験道具(人数分+予備1セット) →  予備の「+1」は、講師のデモ用と、不測の破損・紛失用です。

  • 実験手順書プリント、ハンドアウト(参加者配布用)
  • アンケート(講座改善のための最重要データです)
  • パソコンとの接続ケーブル(USBタイプC, HDMI, RGB変換など、あらゆる可能性を想定)
  • パソコン
  • 無線リモコン(スライドを遠くから操るためのもの)
  • 班の数のカゴまたは容器等(道具を配る/集める時間を劇的に短縮できます)
  • ペン、マジック
  • ハンコ(領収書や講師料などで使用)
  • ノースフェイスのバック(Base Camp Voyager Lite 62L)

【最重要】悪夢を見ないためのダブルチェック

リストの中でも、特に忘れがちで、忘れると「詰む」可能性のある項目が2つあります。

1 プロジェクタの差込口の確認(呪いのケーブル)

忘れがちなことの筆頭が、プロジェクタの形式です。自分のPCは最新でも、会場のプロジェクタが古いアナログRGB(D-SUB15ピン)だった…これは「実験講師あるある」の最大の悪夢です。基本はHDMIですが、万が一に備え、必ず事前に「端子の種類」を確認し、必要な「変換アダプタ」を自分で用意しておく必要があります。

2 アンケート用紙の確認(未来への投資)

ついで忘れがちなのが、アンケート用紙の準備です。運営側が用意してくれる場合もありますが、まったく取らない場合もあります。実験講師として、参加者の率直なフィードバックは、次の成功を生むための最も貴重な「実験データ」です。アンケートの有無を運営側と確認し、もし無いようなら必ず自分で用意しましょう。どちらも打ち合わせで忘れやすい、しかし非常に重要な項目です。落ち着いて「最高の実験教室」を行うためにも、忘れ物には細心の注意を払いたいですね。

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