【科学あそび】磁石がアートを生んだ!「見えない力」でお花を出現させる魔法

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

「さみしい茎だけの絵」に、キラキラした粉をふりかけると…一瞬で満開のタンポポが咲いた!何もない女の子の手に、粉をふりかけると…パッと鮮やかなポンポンが現れた!

まるで魔法のようですが、もちろんタネもシカケもあります。今日は、この「魔法」の正体である「磁石」を使った、大人も子供も夢中になる「科学あそび」をご紹介します。その秘密は、目に見えない「力」にありました。

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枯れ木に花を咲かせる!? 科学あそび

こちらは、理科教育コンサルタントの小森栄治先生の実験教室で教えていただいた「シングルエイジサイエンス」というものです。「幼児向け」と聞いていたのですが、やってみると、大人も夢中になって楽しむことができる奥深いものでした。

作り方はとてもシンプルです。

① 絵を描く
厚紙に、タンポポの茎と葉っぱだけを描きます(花はまだ描きません)。

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② タネをしかける
絵の裏側、ちょうど花を咲かせたい部分に、セロハンテープで磁石を貼り付けます。

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③ 魔法をかける
絵の上から、細かく切った針金の飾り(鉄など磁石にくっつく素材のもの)をパラパラとふりかけると……

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まるで枯れ木に花が咲くように、さっきまで何もなかった場所に、見事な「花」が出現します!

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魔法の正体は「見えない力」

なぜこんなことが起こるのでしょうか?
タネはもちろん、裏側に貼った磁石です。

磁石は、「磁力線(じりょくせん)」と呼ばれる、目には見えない「力の線」を周りに出しています。この力が及ぶ範囲を「磁界(じかい)」といいます。

この「磁界」は、紙やプラスチック、木などは簡単に通り抜けてしまう性質があります。つまり、磁石は厚紙をものともせず、紙の表側にまで「見えない力の手」を伸ばしているのです。

そこへ、磁石に引き寄せられる性質を持つ鉄などでできた針金の飾りがやってくると、この「見えない手」にガシッと捕まえられ、磁石のある場所にだけ集まる、というわけですね。

アイデア次第で「芸術」が生まれる

単にこれだけのことなのですが、この遊びの本当の面白さは、何を厚紙に描くのか、どこに磁石を隠すのかという「アイデア」の部分にあります。

自由に子供に描かせると、ある子供は花火(磁石を中心に火花が広がる!)を、ある子供は別の花を、と素晴らしい作品ができあがるんだとか。

その中で、今回のセミナーの受講者が描いた絵が、本当にすばらしかったんです!

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じゃーん!すごいですよね(^^)!!

応援をする女の子が、はじめは何も持っていないのに、針金をぱらぱらとふりかけると、たちまちキラキラのポンポンができあがっていく!!

この「絵」と「磁石の位置」が完璧に組み合わさったアイデアに、会場は一気に撮影会になりました(笑)。

磁石を使ったちょっとした遊びですが、何を「咲かせるか」を考えることで、科学の知識と創造力が結びつき、まさに爆発しそうです。ぜひご家庭でも試してもらいたい科学あそびでした!

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