【つまずき解消】見えない磁場が手に取るようにわかる「右ねじの法則」徹底解説
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
見えない磁場を操れ!物理の難関「右ねじの法則」を右手一本で完全マスター!
「フレミングの左手」「右ねじの法則」…。物理の電磁気は、まるで忍者の術のように手を使って、目に見えない電気と磁気の力を解き明かしていきます。でも、教科書の2次元の絵を、頭の中で3次元の立体に組み立て直すのが、本当に難しい!
「親指はどっちに向ければいいの?」「この図、裏側から見たらどうなるの?」そんなお困りの声が、私の元にもよく届きます。
大丈夫!この記事を読めば、そのモヤモヤはスッキリ解消します。混乱の原因は、右手には2つの使い方があること。その違いさえわかれば、君も磁場を自由に操れるようになります。さあ、一緒にマスターしてしまいましょう!
問題に挑戦!
次の図のように、直線導線と円形導線を紙面上におきました。あるとき直線導線に電流を図の向きに流します。
(1) 直線導線に電流を流しはじめると、円形コイルにはどのような向きの電流が流れますか。下の選択肢から1つ選びなさい。
(2) 直線導線の電流の流す量を一定にした後、急激に電流を小さくしていくと、円形コイルに流れる電流の様子はどうなりますか。
(3) 直線導線の電流の流す量を一定にした後、円形コイルを図の左方向に動かすと、円形コイルに流れる電流の様子はどうなりますか。
解答・解説:2つの右手と「あまのじゃく」コイルの物語
この問題を解くカギは、図を立体的に捉えることと、「コイルの気持ち」になって考えることです。まずは、この図を少し横から見てみましょう。
磁場は、紙面の手前から奥に向かって貫いているイメージですね!
(1) 電流ON!突然の訪問者にコイルは…
ステップ1:直線電流が作る磁場を知る(右手の使い方①)
まず、直線導線に流れる電流が、円形コイルの場所にどんな磁場を作るか調べます。ここで右手の使い方その1!
さあ、右手をグッドの形にしてください。電流の向き(図の上向き)に親指を合わせます。すると、残りの4本の指が円形コイルの場所で、紙面の手前から奥へ向かって突き刺すように回り込みますね?これが磁場の向きです。
ステップ2:コイルの「あまのじゃく」な反応
スイッチONで、コイルは突然「下向き(奥向き)の磁場」に貫かれました。コイルは**変化が大嫌いな「あまのじゃく」**なんです。突然やってきた磁場に対して、「来るな!」とばかりに、それを打ち消す向き、つまり「上向き(手前向き)の磁場」を自分で作ろうとします。
ステップ3:コイルが作る磁場から電流の向きを知る(右手の使い方②)
では、コイルが「上向きの磁場」を作るには、どちら向きに電流を流せばいいでしょう?ここで右手の使い方その2!
今度は、作りたい磁場の向き(上向き)に親指を向けます。すると、残りの4本の指はどんな向きに巻いていますか?そう、反時計回りですね!
この向きの電流が流れます。よって、答えはア!
(2) 電流DOWN!去っていく訪問者にコイルは…
電流を弱くすると、コイルを貫く下向きの磁場が弱まっていきます。あまのじゃくなコイルは、磁場が減るのも嫌なんです!「行かないでくれ!」とばかりに、弱まる磁場を補う(強める)向き、つまり「下向きの磁場」を自分で作ろうとします。
右手の使い方②で、親指を下に向けると、4本の指は時計回りに巻きますね。答えはイじゃ!
(3) コイルが接近!強まる磁場にコイルは…
コイルが直線導線に近づくと、受ける磁場が強くなります。つまり、コイルを貫く下向きの磁場が強くなります。磁場が増えるのは嫌なので、コイルはそれを打ち消そうと「上向きの磁場」を作ります。これは(1)と全く同じ状況ですね!というわけで、答えは(1)と同じ、アの方向じゃ!
いかがでしたか?「①直線電流の磁場」と「②コイルが作る磁場」で右手の使い方を区別し、「コイルは変化を嫌うあまのじゃく」と覚えてしまえば、もう怖くありません。
センター試験(大学入学共通テスト)でも右手や左手を使う問題は頻出です。ケン博士のこちらの動画も、さらに理解を深めるのに役立ちますよ。ぜひ、あなたの「右手」を最強の武器にしてくださいね!
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