打点しない!? 記録テープで動きを測る新しい「記録タイマーd」の使い方
中学校の運動の単元でおなじみの「記録タイマー」。でも、テープに打点して、切って、測って…というアナログな作業に時間がかかってしまうこと、ありますよね。「もっとスマートに測定できないかな」と思っていたところ、ナリカさんから発売された「記録タイマーd」という新型のデジタル式記録タイマーが登場!実際に授業で使ってみたので、その使い方や工夫した授業展開について紹介していきます。
まずこちらが記録タイマーdの様子です。裏面にUSBケーブルあり。
引き出せます。
これをPCに繋いで使用します。
この記録タイマーd、見た目は従来の記録タイマーと似ていて、記録テープを通す点は同じです。でもテープに打点がされないんです。
え、どうやって記録するの?と思いますよね。実はこのタイマー、光学マウスと同じ技術を使っていて、テープの動きを読み取り、打点をデジタル上に記録していきます。打点データはUSBでPCに送られ、Webアプリ上でリアルタイム表示されます。まだイメージが湧かないと思いますが、こちらが実際に使ってみた動画です。
このように打点されます。
電源はPCから給電されるので、電池も必要ありません。
準備に必要なもの
• 記録タイマーd 本体
• USB接続が可能なパソコン(Webアプリ使用のためネット環境も必要)
• 記録テープ(専用テープ推奨)
• 水平面を滑る台車などの実験器具
なおアプリはwebアプリで、ナリカさんのHPに公開されています。光学式マウスの読み取りと同じことを利用して打点をしているとのことでした。
まずは“アナログ”で考えさせる導入
この記録タイマーの弱点は分かりにくいことだと思います。私はいきなりこの記録タイマーdを使うのではなく、まずはいつもの記録タイマーを使って、紙テープに打点→切り取り→速度計算という、あえて“アナログ”な方法からスタートしました。
まずはいつもの記録タイマーで打点をして、ハサミで切り取るという体験をさせて、平均の速度や瞬間の速度について考えてみるような課題をやりました。
そして“デジタル”へ移行!
その後、同じ内容を記録タイマーdで再測定。すると…瞬時にx-t(位置-時間)グラフやv-t(速度-時間)グラフが表示され、生徒たちからは「おぉ〜!」というリアクション。
ですが、ここで終わりにはしません。
あえて生徒たちに、グラフから数値を拾って手で再びグラフを描かせる課題を出しました。これにより、
• データから情報を読み取る力
• グラフの傾きの意味
をしっかり身につけさせることができます。
左がv-t、右がx-t
次はスクショ活用!? 展開のアイデア
今後はさらに一歩進めて、グラフを使わずに画面のスクリーンショットをそのまま考察材料に使うという方法にも挑戦してみようと考えています。記録タイマーdの良さは、運動の分析ができ、それを把握できることになります。今までできなかった、斜面の角度を順番に変えて行ったり、重さを変えたり、色々とできなかったことができそうです。デジタルツールをただ便利に使うだけでなく、あえて手間をかけて考える力を育てる工夫を続けていきたいですね。さて、どう授業が進化していくか、楽しみです!
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