一度回したら数時間止まらず回り続ける最強コマ!「永久ゴマ」の謎(ベイブレード超え!)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験!

一度回し始めたら、誰も触らないのに回り続ける…。そんな不思議なコマがあることをご存知ですか?まるで魔法のアイテムのようですが、もちろんこれには科学的なタネと仕掛けがあります。そしてその仕掛けの中には、私たちの生活を支える「電気」と「磁石」の、切っても切れない不思議な関係が隠されているのです。先日、そんな理科教師心をくすぐる最高のアイテム、「永遠にまわるコマ」に出会いました!

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実はこのコマ、以前からずっと欲しかった憧れの品。地球ゴマや浮遊ゴマも大好きな私としては、まさに歓喜の出会いです。さっそく授業で使えないか、ワクワクしながら試してみました。

軽く回すだけ。なのに、なぜか止まらない!

回してみて、その不思議な動きに改めて感動しました。軽く指で弾くだけで、あとはコマが勝手に勢いを増し、何分でも、いえ、おそらく電池が切れるまでずっと回り続けるのです。まずはその不思議な様子を動画でご覧ください。

どうでしょうか?これ、生徒たちに見せたら絶対に「なにこれ!?」「なんで!?」と目を輝かせること間違いなしです。そして、この「なぜ?」こそが科学の入り口。このコマには、物理法則に裏打ちされた見事な仕掛けが隠されているのです。

そして驚くべきことに、なんと数日間、周り続けることも可能です!

魔法の正体は「電気」と「磁石」の最強タッグ!

このコマは、なぜ回り続けることができるのでしょうか。その秘密は、コマと台座の中に隠されています。コマは「磁石」でできています。一方、台座の中には「コイル」「トランジスター」「電池」が組み込まれています。

この仕組みの心臓部となっているのが、**「電磁誘導(でんじゆうどう)」という現象です。これは19世紀に科学者ファラデーが発見したもので、「コイルの近くで磁石を動かすと、コイルに電気が流れる」**という、電気と磁石の間に起こる不思議な現象です。

このコマで起きていることを、順を追って見てみましょう。磁石でできたコマが、台座のコイルの上で回転します。すると「電磁誘導」によって、コイルにとても小さな電気が生まれます。その小さな電気を、今度は「トランジスター」がキャッチします。トランジスターは**「電気の拡声器」**のようなもので、電池の力を借りて、生まれたばかりの小さな電気をパワフルな電気に増幅させます。

パワーアップした電気がコイルに流れ込むと、コイルは一時的に「電磁石」に変化します。この電磁石が、回転するコマ(磁石)をタイミング良くポン!と蹴り出すように力を加え、回転をアシストします。

止まりません!

つまり、**①回る → ②電気が生まれる → ③電気がパワーアップする → ④電磁石で蹴ってもらう → ①さらに勢いよく回る…**というサイクルが、台座の中で高速で繰り返されているのです。コマは空気の抵抗などで少しずつエネルギーを失いますが、その失われた分を電池からのエネルギーで常に補い続けているから、まるで永遠に回っているかのように見えるのですね。

科学を「体感」する楽しさを授業に!

このように、ただ不思議なだけでなく、その裏側にある科学の法則を知ると、感動もひとしおです。科学の面白さを「体感」できる道具は、生徒たちの記憶に強く残り、知的好奇心を大きく育ててくれます。もちろん、ちょっとした息抜きや暇つぶしにも最適ですよ(笑)。このコマをきっかけに、「じゃあ電池のいらない地球ゴマは?」「磁石だけで浮く浮遊ゴマは?」と、いろいろなコマの世界を探求していくのも面白いですね。授業の導入や科学イベントのアクセントに、この「永遠にまわるコマ」は最高のアイテムです!

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次は浮遊コマでコマを空中に浮かせてみよう!

なぜ浮くの?なぜ回るの?「浮遊ゴマ」で解き明かす重力と磁力の秘密(U-CAS)

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