ナルホド!コの字回路と微積分(微積10)
高校物理と微分積分について
高校物理の検定教科書では微積を使わないで説明がなされています。数学の進度の関係もあるため、そのようになっていますが微積をつかって考えたほうがスッキリとわかりやすく説明できることも多くあります。
このコーナーでは微積を使ったほうが良い範囲について、ひとつひとつ説明をしていこうと思います。今回は試験でよく出題されるコの字型をした回路についてです。
コの字型回路の初速度のみを与えた場合 パターン1
今回はもっとも簡単な、時刻0で初速度v0を与えた時の導体棒の動きを見ていこうと思います。次のような回路を組んで、磁場がある中で導体棒を動かします。
導体棒が磁場を垂直に横切るため、誘電起電力が発生し、回路には誘導電流が流れます。この誘導電流によって、導体棒にはブレーキがかかり、やがて導体棒は止まります。
導体棒の速さがある速さvになったときの様子を考えてみましょう。
棒が止まるまでの速度変化の様子について、微積分を使って考えてみたいと思います。導体棒の誘電起電力は
V = BLv
と表すことができます。誘電起電力の向きは、左手を使いましょう(ローレンツ力)。
この起電力によって、回路に電流が流れます。
回路に流れる電流は、
となります。導体棒を流れる電流と磁場の関係から、導体棒は力を受けます。
このとき電流が磁場から受ける力は、
このことから運動方程式は右向きを正とすると、
と書くことができます。この微分方程式を解いていきましょう。変数分離をして、
両辺を時間tで積分します。
ここでe○をexp○と表記をすると、
となります。表記の問題なので、あまり気にしないでくださいね。時刻0のとき速度をv0とすると、積分定数eCはv0となります。このことから、
となります。これをグラフにすると、
と、このようになり、速度が徐々に小さくなっていくことがわかりますね。次回は、このとき抵抗から発生する熱Q=Ptがどこからやってくるのか?について、上記の式を使いながらかんがえてみたいとおもいます(^^)
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