チャーハンを5秒間、空に浮かせるには、米を何メートルまで浮かせればいい?【物理計算】

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ケン博士
サイエンストレーナーの桑子研です。このサイトで科学を一緒に楽しみましょう。

ある時ふと友人から、「チャーハンを5秒間、空に浮かせるには、米を何メートルまで浮かせればいい?」と質問を受けました。彼はチャーハンが好きでよく自宅で作っているのだそうです。その時に、フライパンでお米を振って炒っているときに、ふとこの疑問が浮かんだそうです。チャーハンの米が飛んでいるときの様子をよく見てみると、普通にチャーハンを作っていても、お米はせいぜい高さ10cmくらいを飛んで落ちてきます。この時お米は1秒も空中に浮かんでいません。「5秒間くらい空中に留めるには、どれくらい高くお米を飛ばす必要があるのだろうか?」ということが気になったそうです。

これは面白い物理の問題です。中学や高校で習う物理の知識を使えば、実際に計算できるんですよ。実際に計算してみましょう。

まず、自由落下の式を復習しましょう。自由落下とは物体をそっと落とした時、つまり初めの速度(初速度と言います)の大きさが0m/sで落とした時の落下のことを言います。全ての物体は確か一定の加速度で落下するということを学校で習ったなと思い出す人もいるでしょう。実は地球上ではどこで落としてもおよそ9.8m/s^2の加速度で落下します。これをv-tグラフ(速度と時間の関係を示すグラフ)で表すと、1秒後には9.8m/s、2秒後には19.6m/sと、速度が増加していきます。加速度は傾きを示しています。

またのことのきの速度を計算する式は、このグラフを表すv=9.8×tです。

この時の落下距離について考えます。v-tグラフの面積は落下距離を示します。この性質を使って落下距離を計算します。例えば、1秒の落下距離は三角形の面積(底辺×高さ×0.5)になるので、

落下距離y=1×9.8×0.5=4.9m

となります。2秒後は19.6mです。ある時間での落下距離の計算式はy=1/2×9.8t^2です。グラフにするとこのようになります。

これを利用すると、雨の落下速度も計算できます。通常雨粒は1kmから落下してきます。さて地上に落ちてきた時、どれくらいの速さになっているのでしょうか。理論値を計算してみましょう。

およそ500km/hです。これはリニア新幹線の最高速度の大きさとほとんど同じです。

このスピードで落ちてきたら頭が貫かれてしまうかもしれませんが実際はそうではありません。なぜだと思いますか?

それは空気抵抗によるものです。空気抵抗があるから、20km/h程度のスピードになります。空気があってよかった!!

さて、チャーハンに戻りましょう。チャーハンのお米を5秒間浮かせるためには、どのくらいの高さまで飛ばせばいいのでしょうか?上向きに投げられたお米の初速度をv0とし、最高点に到達する時間は2.5秒。その時の速度が0になる条件で計算してみましょう。まずv-tグラフは次のようになります。

チャーハンは上むきにある速度を持って投げられます。どんな速度かわからないので、とりあえずv0という文字で置いておきましょう。速度が負になっているところがありますが、これは速度が逆向きになったことを示しており、これは折り返し地点を過ぎて落ちてきたことを示します。この直線の式は次のように表せます。

v=v0-9.8t

5秒間で落ちてきたということは、折り返し地点である最高点に到達する時間は2.5秒です。また最高点では速度が0になるので、

0=v0-9.8×2.5

v0=24.5m/s

となります。これを計算すると88.2km/hです。かなりの手首のスナップが必要なことがお分かりでしょうか。この時チャーハンはどの高さまで持ち上がるのかというと、グラフの面積を使うわけです。

y=2.5×(2.5×9.8)×0.5=30.625m

およろ30mです。1Fあたりの高さを30mとしてビルで換算すると、約10階分に相当します。

「チャーハンを5秒間、空に浮かせるためには、米は何m浮かせればいい?」
の答えは

およそ10階の高さまでお米を飛ばす必要がある

です。天井がなければ、スナップ次第ですが、頑張ればお米を飛ばすことができるかも?そ入れませんが、普通の家庭ならキッチンの天井に明らかに米がぶつかり時にはベッタリと張り付くことになります。

想像できましたか?

このように物理を使うと計算をすることによって色々なことがわかります。

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