バケツ落下時における、頭にはたらく力について考えてみました
ちょっと空想的な計算をしてみた。例えば陶器のカップを落とした時、カップは撃力を受ける。カップがコンクリートの上と、絨毯やマットの上に落ちた場合は、同じ高さから落ちた場合でも落下の際の接触時間が後者のほうが長くなるため、平均の力が小さくなり、カップは割れにくい。
テレビ番組のドッキリなどである、タライが落下して頭にぶつかった例を用いて計算をしてみよう。例えば、500g=0.5kgのアルミ製バケツなどが高さ0.50mから落ちてきて、頭に衝突したとする。衝突時間を10ms(0.010s)で、衝突後にバケツが静止をした(運動量が0になった)とする。このときに頭に働いた平均の力の大きさを求めてみよう。
頭に衝突する直前のバケツの速さは、仕事とエネルギーの関係から、v=√2ghとなる。このとき運動量mvをタライは持っている。これが力積によって止まる。衝突により頭にはたらく力の時間平均値 Fバー は、
Fバー t=m√2gh
=m√2gh / t = 0.5×(1.41×9.8×0.5)^0.5 / 0.010
=131 N = 13.1kg重
となる。(1kg重=10Nで換算)
もともとのタライの重さは5N(=0.5kg重)であり、の重力を持っていたのに対して、頭にぶつかって衝突するときにはたらく平均の力は131N(=13.1kg重)なので、重力に対して26倍の力を頭が受けることになる。なおこれは平均的な力なので、瞬間最大値はより大きくなる。生徒には真似をしないよう注意をしてほしい。
ただし、例えば頭に衝突するときに首を少し下げるなどができたら(普通できない)、衝突時間を0.020sと2倍にすることができれば、頭にはたらく平均的な力も、6.55kg重まで減らすことができる。
実際に痛い痛くないということは力の大きさの他にも、力のはたらく面積にも関係します。例えばバケツと頭の衝突面積が5×5=25cm2だとすると、そのときの圧力は、
P=131/(0.25×0.25)= 52400 Pa(大気圧の半分くらい)
別の部分に衝突するなどで衝突面積が10cm×10cm=100cm2になれば、その4分の1にまで軽減することができます。なにかが衝突するときに、どんな力がはたらくのかを計算をざっとしてみました。
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