直感と物理の常識がずれる時!「力」の理解の難しさ(鉛直なげあげ)
物理の世界って、不思議な現象がいっぱいですよね。特に力学なんかは、目に見える現象を観察することで、なんとなく直感的に理解できることが多いんです。でも、ちょっと気をつけてほしいのが、実はその「直感」が正しくない場合があるんです。そんな例が「クリエイティブラーニング」という本に掲載されていました。コインを投げたときにB地点で働いている力を正しく表しているのはどれか?という問題、皆さんはどれを選びますか?
『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』 (リアリティ・プラス) より引用
なんと、多くの人がこの問題で間違った選択をするんです。物理好きの方なら「ああ、答えは真ん中だよね」とピンとくるかもしれませんが、驚くべきことに、1970年代のアメリカの大学で物理を専攻していた学生に同じ質問をしたところ、正解率はたったの10%だったそうです!
日常の感覚だと、「投げたコインは上に向かって力が働き続けているんじゃないか」と思いがちです。でも実際は、投げられた瞬間から重力が下向きに働き続けているんです。コインが上に行くのは、最初の投げる力が働いているからで、その後は重力が勝って落ちてくるんです。この辺りの「速度」「加速度」「力」の関係を正しく理解するのって、なかなか難しいんですよね。
とはいえ、直感がダメなわけではないと思っています。実際、直感は多くの場合で正しいこともあります。観察することでその直感を強めてしまうのも自然なことです。ガリレオ以前の時代には、この直感的な考え方が公式な理論だったわけです。
だからこそ、私はこういった物理の問題を「面白いなあ」と思うんです。力と加速度についてしっかり理解すると、それまで信じていた直感が「え、本当にそうだったの?」って思うようなパラダイムシフトが起こるんです。この瞬間が、科学の醍醐味です。こうした直感と科学的理解のズレが、科学と一般の間でのコミュニケーションの齟齬を生むのかもしれませんね。
こんなふうに、物理の世界にはたくさんの発見が待っています。