浮力の公式の求め方・導出方法(アルキメデスの原理)

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ケン博士
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図は同書籍より引用

水の中に物を入れると、上向きの力がはたらいて、軽くなったように感じます。これは浮力という力が、上向きにはたらくためです。浮力の公式は次のようなものがあるのですが、参考書『きめる!センター試験物理基礎』の中では導出をすることが誌面の関係からできませんでした。

浮力F = ρW VW g

 ここで液体の密度をρW[kg/m3]、物体の水に沈んでいる部分の体積をVW[m3]としています。ここではこの公式がどのように出てきたのかについて導出方法を説明したいと思います。

導出の中で大切なのは、浮力は水圧による力の合力であるということです。次の図①のように、水圧はさまざまな方向から物体を押しますが、深さによって変化します。その大きさは深さに比例します。

図は同書籍より引用

 これらを合成すると、②のように左右方向はキャンセルされ、下の力と上の力の差として上向の力が現れます。これが浮力です。

では実際に求めてみましょう。図のように密度ρ[kg/m3]、面積S [m2]、長さL [m]の円柱を、密度ρW[kg/m3]が水の中に沈んでいるとします。液面から円柱の上面までの深さをh[m]、重力加速度の大きさをg [m/s2]、大気圧の大きさをP0[Pa]とします。

まずは上面の水圧PUを求めましょう(UはUPで上面という意味を持たせました)。深さh[m]での水圧は、「水圧の式」から

となります。水圧の公式を忘れてしまった人はこちらをご覧ください。

水圧の公式はどのようにして導かれるのか?(導出方法)

同様に、下の面の水圧PDを求めます(DはDownで下面という意味を持たせました)。深さh+L[m]での水圧は、

これらを上の面を押す力に直していきましょう。F=PSより、上面を押す力は、

同様に下面を押す力FDは、

浮力は上・下の圧力による力の差なので、②から①を引いてみましょう。

物体の体積Vは、SLなので、

浮力F = ρW VW g

 となり、導出することができました。今回は簡単のため円柱を使って求めましたが、どんな形の物体に対しても言えるのがアルキメデスの原理のすごいところです。

なお、ここで実際にある物体が浮くのか沈むのかについても、考えてみましょう。鉄の塊である船がなぜ浮くのか?ときになる人もいますよね。

ある物体にはたらく重力はW=mgです。また物体の密度ρを使うと、m=ρVより、

物体が浮くためには、重力よりも浮力のほうが大きくなればいいから、

浮く条件

よって、ρ<ρWのとき物体は浮くことになります。密度の違いなのですね。

船は鉄を薄く伸ばして、全体の体積を大きくすることで、水よりも船全体の密度が小さくなって浮くことになります。

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