透明半球を使って太陽の動きを追う実験について
休み時間が“観測チャンス”!透明半球で体感する太陽の動き
「太陽の動きは南中に向かってどう変化するのか?」——これは中学3年生の地学分野で取り扱う重要なテーマです。ですが、教室での口頭説明や黒板図だけでは、どうしても“体感”にはつながりません。そこで今回取り入れたのが、透明半球を使った太陽の位置の記録実験。しかもこの観察、授業時間ではなく“休み時間”に観測する形式にしてみました。生徒の主体性を引き出しつつ、現象をリアルに感じ取る工夫です。
透明半球と簡単な道具があれば実施可能で、準備もシンプル。この記事ではその具体的な手順、注意点、そして他教科への配慮までを含めてご紹介します。
活動のねらい
• 太陽の見かけの動きを、自分の観察によって記録し実感する
• 教室外での観察活動を通して、科学的な視点と観察の習慣を養う
• 現象を「見る→記録する→考察する」のプロセスで理解を深める
必要なもの
• 透明半球(プラスチック製):できれば底が平らで直径15〜20cm程度のもの
• シール:丸形で目立つ色(1日分を色で分けてもOK)
• ピンセット:シール貼り用(細かい作業の補助に)
• コンパス:透明半球の北を正しく合わせるために必要
実施手順
1. 透明半球を設置する
→ 理科室の前や校庭など、日当たりのよい場所に設置します。コンパスで北を正しく合わせるのがポイントです。
2. 影が中心にくるようにシールを貼る
→ 太陽が真上にあるわけではないため、ピンセットで慎重に貼らせます。中央(地面側)から影が伸びる方向に貼るよう指導します。
3. 休み時間ごとに記録を取らせる
→ 生徒は自分の班の担当時間に観測に来て、シールを貼っていきます。個々に記録時間をノートや観測用紙にメモさせるとよいでしょう。
4. 記録を持ち帰り、軌跡をまとめる
→ 一日分のシールの軌跡を線で結ぶと、太陽の移動の様子がよく分かります。
他教科・教員への配慮
授業に支障が出ないよう、事前に他の先生方へ周知しておくとスムーズです。例えば、以下のような文面を送っておくと丁寧な印象になります。
【事前連絡用 文案(教職員向け)】
中学3年生の地学の授業の一環として、休み時間ごとに生徒が透明半球を使用して太陽の位置を記録する観察実験を実施します。観測はあくまで休み時間内に行うよう指導しておりますが、生徒には「授業に遅れるようであれば記録を取らなくてよい」と伝えております。天候に左右されるため日程は流動的ですが、来週の水曜日を中心とした観測になる見込みです(各班で判断)。校庭や指定場所で生徒が活動している様子を見かけましたら、どうぞご理解いただければ幸いです。万が一、それに関連して授業に支障が生じた場合は、遠慮なくお知らせください。
教師側の工夫ポイント
• シールが重なる場合に備えて色や記号を変えても◎
• 北の方向がずれないように、設置場所に印をつけておくと便利
• 天候の記録(晴・曇など)も残すと、後日の振り返りに役立つ
• 全体の軌跡を写真で記録して、授業内で共有することで理解が深まる
このように、透明半球を使えば「太陽の見かけの動き」を視覚的・体験的に学ばせることができます。生徒にとっても「自分で見てきた!」という実感が大きく、授業へのモチベーションアップにもつながる実践です。
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