灯油ポンプが大変身!循環のしくみを体感できる理科授業

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

中学生に「心臓のはたらき」を教えるとき、実感をともなって理解させるのはなかなか難しいですよね。特に「逆流を防ぐ弁の役割」は、教科書や動画だけでは腑に落ちない生徒も多いはず。そんなときにぴったりなのが、灯油ポンプを使った心臓モデルの実験です。

以前、教育実習生とともに「どうすれば心臓のしくみをシンプルに再現できるか」を考え、灯油ポンプを活用した実験を行いました。これについて紹介します。ポイントは、ポンプ内にある“弁”の働きを体験的に理解させることです。

実験の準備と手順

【準備するもの】
• 灯油ポンプ(2種):
1)片側の弁を外したもの
2)弁をそのまま残したもの

• 水+食紅(血液のイメージ)

• 透明なビーカーや容器(入出水を視覚化)

• 受け皿やタオル(机が濡れるのを防止)

【手順】
1. ポンプのホースをそれぞれ水に入れ、食紅で着色した「血液水」を準備。

2. 弁を外したポンプではどうなるかを観察。

→ 吸っても吐いても、水がどちらのホースからも出入りしてしまう。

3. 弁つきポンプで同様に操作。

→ 逆流がなく、一方向にのみ水が流れ、循環のような動きが見える。

弁の役割に自然と気づける!

この実験の良いところは、「なんで逆流するの?」「弁って大事なんだ!」という気づきが自然に生まれるところです。説明で一方通行の仕組みを話すより、「ああ、これがなかったら循環しないんだな」と体感できることで、理解の深まりがまったく違います。実習生も「心臓に弁がある理由って、こういうことか!」と納得していました。科学的な感動の種は、身近な道具に潜んでいるのですね。

ポンプ選びの注意点

なお、この実験で使うポンプは100円ショップでも手に入りますが、弁の見えやすさに注意が必要です。

• セリアのポンプ:弁が赤く、視認性が高い。観察向き。

• ダイソーのポンプ:弁が透明で見づらい。実験にはやや不向きかも。

購入時はぜひチェックしてみてください。

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