安全に硫化水素の発生実験を行うためのポイント13(鉄と硫黄の硫化・硫化鉄の実験)
#鉄 と #硫黄 の #硫化 の実験の注意点について、毎年見直すようにとまとめておきます。全国で毎年大きな事件が起こっている鉄と硫黄の硫化の実験です。Googleで「硫化水素 ニュース」などと検索すると、たくさんの事故例が出てきます。特に事故の大きなポイントとしては 硫化水素 の発生のさせ方にあるようですが、この実験は、それ以外にもたくさんの注意点があります。
このまま行くと全国で禁止されてしまうのではないかと危ぶまれる実験ですが、反応しているときの美しい様子、また硫化水素(特有の刺激臭(腐卵臭と私の頃は習いました))の匂いを嗅いでおくことは火山大国日本では必要ではないかと思われます。私自身群馬県出身でかぎなれた親しみのある匂いです。
そんな大切な実験でありながら、事故が多い、細心の注意を払って行いたい #硫化鉄 ・ #硫化水素 の実験について、そのポイントを13にまとめました。実際の授業時に出した指示のスライドもこちらに掲載しておきます。私もいつも怖くて予備実験を何回かやってから行っています(今のところ幸い大きな事故をおこさうずに来ています)。
※ 写真やスライドを実際に授業で使用して良いか、との許可確認の連絡を受けることがあります。ここにある内容は、先生方の助けになればとまとめているものなので、許可なく使って構いません。実際に行ってみて、ここはこうした方がより安全であるなどもしございましたら、ぜひ教えてください。また、他の実験方法でも可能で、教科書会社によって様々なやり方で書かれています。
例えばスチールウールを使う方法もあるようです。ここに書いた方法は一例なので、各学校の実情に合わせて、行っていただければと思います。
実験方法
手順0 事前連絡及び換気をONに!
事前に保健室や担任の先生に実験を行うことを伝えておくと何かの時に安心ですね。生徒には白衣と保護メガネを必ず持ってくるように指示をしておきましょう。
忙しくなると、窓を開けるのは覚えていても、換気扇を回すのを忘れてしまうことがあります。
ポイント0 事前に保健室の先生と担任の先生に声をかけておく
ポイント1 忙しくなって忘れないために初めから換気のボタンを押しておく。
手順1 鉄粉と硫黄の粉末を混ぜ合わせる(鉄粉7.0g、硫黄4.0g)
教員の事前準備として、鉄粉7.0g、硫黄4.0gを測り取っておくことが必要です(50分の中では実験が終わらないため)。測るときの量も大切で、特に硫黄が多いと硫黄の蒸気が発生しやすくなります。この時間が毎年結構大変です。本来なら生徒にやらせたいところですが、時間がかかってしまって、なかなか実験まで辿り着けないのが悩みです。今年は科学部員に協力をしてもらって、用意しました。鉄粉の粒度は100メッシュ以上が良く、60メッシュだとうまく反応が起こらないことがあるとのこと。今回は300メッシュを使いました。
ポイント2 鉄粉の粒度は100メッシュ以上!
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乳鉢に鉄と硫黄をとってよくかき混ぜます。乳鉢は硫化鉄と酸化銅用のものを別々に買って用意しています。水洗いしなくても、次のクラスが使えるので便利です。
これをよくかき混ぜます。硫黄のダマがなくなるまでしっかりと混ぜ合わせて、全体がグレーになるまでやりましょう。
ポイント3 よく混ざぜる。化学反応が十分にできないと硫黄の蒸気がでます。
参考:硫黄の融点112℃、沸点446℃ ガスバーナーの炎 1500℃
これはよく混ざっていない例です。黄色い硫黄の塊が見られます。全体がグレーになるまで混ぜます。
手順2 アルミ箔の容器を2本作り、試料を入れる
アルミ箔のサイズは5cm×10cmくらいで事前に準備をしておきましょう。単四電池2本をセロテープでくっつけたものを芯にして巻来ます。机に強く押し付けるようにすると、固く巻家ます。
片方を閉じて電池を引き抜きます。これを2本用意します。
これを薬包紙に移します。
そして漏斗を使って、入れていきます。
入れたから軽く机を使ってトントンと叩いて、空気をいて、中で粉同士が接触するようにしておきます。強く叩きすぎて、アルミ箔が破れてしまう場合があります。軽く叩くいけば良いと伝えましょう。漏斗(ろうと)は水洗いしないで良いと伝えます(次のクラスが続きであっても使用できます)。
手順3.試験管に入れて、加熱する
試料2本をそれぞれa,bとすると、bはそのままにしておいて(対照実験用)、aを試験管に入れます。そして試験管の上を脱脂綿で蓋をして、アルミホイルの上部を加熱します。反応が始まったら加熱をやめて様子を観察します。1分くらいで反応が始まります。
ポイント4 脱脂綿で蓋をする。硫黄の蒸気などの有毒な物質が外に出るのを防ぎます。
アルミ箔の棒の上部を加熱します。下部ではありません。理由は、反応が始まった時の熱と、ガスバーナーの熱で試験管にヒビが入ることがあり、下部から加熱すると、底がボトっと落ちることがあるからなのだそうです。また上部から反応が起こると試験管が汚れにくく、次回も使いわせるという特徴もあるようでした。(4クラス分使い回すことができました)
ポイント5 アルミ箔の上部を加熱する
ポイント6 試験管ばさみは試験管の上部につけて、決してハサミの部分を持って温めないこと。間違って固定バサミを開く恐れがあります。
反応が始まったら、ガスバーナーの火から離しても大丈夫。どんどん進んでいきます。とても綺麗で、花火のようです。反応もゆっくりです。
ポイント7 ガスバーナーの火は消さないで良いので、ここは化学反応に注目させましょう。山場の一つです。
ポイント8 試験管の下に手を置かないように、注意をする必要。
少し試験管ばさみを手で持って冷まし、その後、空になっている乳鉢の上において冷まします。
冷えるのを待つ間に加熱器具などを片付けさせると良いです(加熱器具などの片付けを行なっておく)。
手順4 十分に冷えたら、試験管から資料aを取り出し、資料bとの性質の違いについて調べる
濡れ雑巾で試験管の先を触ってみて、じゅっと音がしなそうであれば、濡れ雑巾で巻いて、全体を冷やします。脱脂綿をとって、試験管から中身を取り出します。
磁石を近づけてみる。
ポイント9 フェライト磁石なら良いですが、ネオジウム磁石であると、硫化鉄の方もくっつくことがあります。ただし、つきかたが弱いです。つき方の違いに目をむけさせましょう。
手順5 一部(1~2mm程度)をペトリ皿にとり、塩酸をプチボトルから3滴たらし発生するにおいを調べる。手で仰ぎながら観察する。
ここが一番の中毒ポイント!事故が最も起きやすいシーンです。換気をもう一度確認、窓を開けて、教室前後の扉も開けます。かけらにかけるということ、塩酸は3滴ということについて、注意を何度も強めにしないと、そのまま塩酸をかける班が出てきます。
ポイント10 換気のためにドアや窓を開ける。また硫化鉄はそのままではなく折って、カケラにしてから塩酸をかけること。塩酸は薄めたもの(3%)をプチボトルに入れて、それを3滴と指示出す。
ポイント11 途中で気持ちが悪くなった生徒は外に出ても良いと指示を出す。空気よりも重い気体なので立ちながら作業をするように声をかけます(いつも実験中立っているのが標準ですが)
ポイント12 発生する気体は有毒なので手であおいでそっとかぐようにする。直接顔を近づけない。決して強く吸い込んではいけない。全員がにおいが感じとれたら,水を少量かけて反応を止めるように指示。
試験管に硫化鉄のかけらを入れて、塩酸をかけて硫化水素の匂いを嗅ぐ方法もあるのですが、やってみるとペトリ皿の方がわかりやすかったです。理由としては空気よりも重いため、試験管の場合は試験管の口まで気体が出るまでに時間がかかり、仰いでも匂いを感じることができない時間帯がでて、鼻をつける生徒が出てきそうな悪い予感がしたためです。ですので、私はペトリ皿パターンをおすすめします。
試験管はブラシで洗うように指示を出します。汚れは全ては落ちません。また硫化鉄や残りは燃えないごみとして回収をします。排水溝に流しません。試験管はヒビが入っていないか確認をして、洗えば汚れはついてしまうものの、また使えました。
ポイント13 残った資料は回収する。流しに流さない。
別の方法(参考)
試験管に入れずに直接加熱する方法もあります。私はこの方法で数年やっていました。化学反応自体はとても良く見えますし、観察にはお勧めです。ただしどうしても顔を近づけてみたくなったり、そのことにより硫黄の蒸気を吸い込んで咳き込むことがあり得るので、より安全い行うためには上記の脱脂めんで蓋をするパターンをお勧めします。
また教科書によっては、硫黄とスチールウールを試験管に入れて行う方法もありました。実際にやってみると、こんな感じです。
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