わかっていても絶対驚く!鉄球も羽も同時に落ちるNASAの実験(落下運動)
落下運動はすべて等加速度運動の公式を作りなおせばよい
私たちの身の回りにある一番身近な運動、それが落下運動です。落下運動の中でも直線運動の場合には、初速度0でそっと落とす「自由落下」、初速度を下につけて落とす「鉛直投げ下ろし」、そして初速度を上に向けて投げ上げる「鉛直投げ上げ」の3つの運動があります。
これらの運動は等加速度直線運動の公式を使えば、物体の運動を簡単に予想できます。
○ 自由落下
私たちの住む世界には重力という力がはたらいています。重力により物体は地面に向かって落ちていきますが、この加速度aを測定すると、地球上どこでも一定で、およそ9.8m/s2となります。これを重力加速度といい、gをつかって示します。
重力加速度g = 9.8m/s2
「え!同じ速度で落ちるなんて嘘だ!重い物のほうが速く落ちるのではないか?」
そう思うかもしれません。実際には空気抵抗という空気の粒子がぶつかる影響によって、
空気抵抗の影響を受けにくい物体は重いほうが速く落ちます。
しかし真空で実験をすると、なんと羽もボーリングの玉も同じ時間に落下します。
つまり9.8m/s2の加速度で落ちていきます。
そんな驚くべき実験の様子がこちらです。
落下運動はこのように、質量によらず真空中であれば加速度が一定の等加速度運動なので、
等加速度運動の公式を使うことにより、今までの問題と同じように解くことができます。
例えば、小球をある高い木の上から初速度0で落下させたとします。この小球がちょうど2.0秒後に地面に落下した音がしました。
この木の高さを求めてみましょう。
まずは等加速度直線運動の公式を、作り変えていきます。
縦方向(婉曲方向)に物体が動く場合には、y軸を使っていますが、x軸と同じで位置を示すだけですから、あまり気にしないでください。
一般的に水平方向はxを、鉛直方向はyを使うことが多いだけです。y軸の向きは物体がはじめに動く方向、つまり下方向にとりましょう。
次に加速度と初速度を問題文からみつけると、a=+g、v0 = 0だということがわかります。これを位置の式に代入します。
最後に2秒後に落下した音が聞こえたということから、t=2を、またg=9.8を代入して高さを求めると、
y = 1/2×9.8×22 = 19.6≒ 20m
となります。求めることができましたね。
○ 鉛直投げ下ろし
次に鉛直投げ下ろしについて考えてみましょう。例えば初速度5.0m/sで、鉛直下向きに小球を投げおろした場合を考えてみましょう。このときの2.0秒後の速さと落下距離をもとめてみます。
それではa,v0を見つけて等加速運動の公式に代入してみましょう。
重力加速度はgとしていますが、この中には重力加速度の値、9.8という数字が入ります。
それでは2秒後の速度を求めてみましょう。速度の式にg=9.8,t=2を代入して計算すると、
v = 9.8×2+5 = 24.6
有効数字を合わせると、25m/sとなります。また2秒後の落下距離は、位置の式にg=9.8,t=2を代入して計算すると、
x = 1/2 ×9.8×22 + 5×2 = 39.6
およそ40mとなります。このように等加速度運動の公式は、カスタマイズして使っていきましょう。
動画での解説はこちらを御覧ください。
『大人のための高校物理復習帳』(講談社)という本をかきました。自由落下運動に加えて、二次元の運動である放物運動や、そのほかの物理の公式と身近な例についてとりあげています。