【動画で解説】水の電気分解実験、準備から片付けまで徹底網羅!

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

特に実験となると、準備に時間がかかったり、安全管理に気を配ったりと、なにかと大変ですよね。でも、生徒たちが目を輝かせながら実験に取り組む姿を見ると、「やってよかった!」と心から思えるのではないでしょうか。今回は、理科の定番実験の一つである水の電気分解について、授業準備がグッと楽になるような実践的な情報をお届けします。水酸化ナトリウムの扱い方や電源装置の注意点など、つまずきやすいポイントをしっかり押さえて、安全で効果的な実験授業を目指しましょう。この記事を読めば、生徒たちが「水って、こんなに面白いんだ!」と感じるような、記憶に残る実験になるはずです。

準備編:これだけ揃えれば大丈夫!

まずは、実験に必要なものを確認しましょう。

【用意するもの】

  • 電気分解装置
  • 水酸化ナトリウム水溶液
  • 電源装置
  • 100mLビーカー
  • 導線
  • バット
  • マッチ
  • 線香
  • 保護メガネ
  • ろうと
  • ゴム手袋
  • 燃えさし入れ

【水酸化ナトリウム水溶液の準備】

水酸化ナトリウムは、劇物であり、水に溶かす際に発熱します。取り扱いには十分注意し、必ず保護メガネとゴム手袋を着用してください。

水酸化ナトリウム水溶液は、5gの水酸化ナトリウムを水に溶かして100mLにしたものが目安です。1クラス10班であれば50gで水1L、4クラス分なら200gで水4Lが必要になります。

準備のポイント:

  • 安全第一! 水を張った水槽に大きめのビーカーを入れ、その中で水500mLに対し25g程度の水酸化ナトリウムを少しずつ加えながら溶かすと、熱の発生を抑えられます。
  • 効率的に! 実際には、1クラス分を用意して使い回すのが効率的です。余った薬品はポリタンクなどに入れて保存しておけば、次年度の実験や別の実験にも活用できます。

実験手順:動画も活用してスムーズに!

1. 電気分解装置への充填

まず、バットを下に敷き、その上に電気分解装置を置きます。

水酸化ナトリウム水溶液100mLを、ろうとを使って装置の上部からゆっくりと注ぎ入れます。この時、上部のゴム栓はまだしないでください。ゆっくり注ぐことがポイントです。最初は容器の上まで水溶液は入りませんが、慌てずに進めましょう。

まだ水はここまでしかたまっていません。

POINT! 操作に慣れるまでは、水で充填の練習をするのも良い方法です。また、生徒には必ず白衣と保護メガネを着用させましょう。

2. 空気を抜いて充填完了!

上部のゴム栓をしたら、装置をゆっくり手前に倒します。すると、「ボコボコッ」と空気が抜けていきます。空気が抜けたら元に戻せば充填完了です。前面の水槽に液体が満たされているか、空気が残っていないかをしっかりと確認してください。

3. 電源装置の接続と気体発生の観察

電源装置をつなぎ、電圧を5〜6Vに設定します。電極から「シュワシュワ」と泡が出てくるのが観察できます。

POINT!

  • 電源装置は直流で行い、ダイヤルを最小(Min)にすることを確認してからコンセントを差し込みましょう。
  • 主電源を入れてから、ダイヤルを徐々に回し、決して6V以上に電圧が上がらないように注意を促してください。6V以上にすると気体の発生が激しくなり、裏側の空間にまで気体が入ってしまうことがあります。
  • 電圧を0〜6Vの間で変えながら、泡の発生の様子を観察させ、「0Vにすると泡はどうなるか?」といった問いかけをすることで、生徒の思考を深めることができます。

4. 気体の捕集と確認

陰極に約4cm³(目安として3分程度)の気体がたまったら、すぐに電源装置の値をゼロに戻します。5cm³以上にすると爆発の恐れがあり危険です。このあたりの指示は徹底しましょう。

一方のゴム栓をして気体を調べ、その後もう一方のゴム栓の中の気体も同様に調べます。マッチや線香を使う際は、必ず濡れ雑巾と燃えさし入れを用意し、安全に配慮してください。

POINT! 中学2年生では、化学式からどちらの極から何が出るかを予想するのは難しい場合があります。その場合は、2回実験を行い、それぞれ発生した気体を確認する方法も有効です。3分ほどで気体はたまるので、時間があればぜひ実践してみてください。

片付けと安全管理:最後まで気を抜かずに!

実験が終わったら、残った水酸化ナトリウム水溶液はビーカーに戻して回収しましょう。再利用できます。電気分解装置はきれいに水洗いし、机の上も水拭きを忘れずに行いましょう。

そして何より大切なのは、生徒全員に手洗いを指示することです。水酸化ナトリウムはタンパク質を激しく腐食するため、もし皮膚についた場合は、すぐに水で洗い流すように指導してください。

まとめ

水の電気分解実験は、化学変化の基本的な概念を学ぶ上で非常に重要な実験です。安全に配慮し、ポイントを押さえた準備と手順で、生徒たちが科学の面白さを実感できるような授業を作り上げていきましょう。

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