動物園ではたらく獣医師さんのお話

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ケン博士
サイエンストレーナーの桑子研です。このサイトで科学を一緒に楽しみましょう。

先日、千葉市動物公園にて、「動物園の健康を守る」という講座に科学部の生徒を引率して参加してきました。獣医師の先生方から、動物の健康をどのようにして管理しているのか、についての話など、実際の写真を通していろいろと説明をしてくださいました。本来であれば動物病院にいけるはずだったのですが、今回は鳥インフルエンザが流行っているということで急遽、Zoomの生放送にて、獣医師さんがテレビ越しに案内をしてくれて、その場で質問を受付たりしてくれるという企画になりました。

 講義・Zoomでの動物病院との接続など、とても貴重な半日を過ごすことができ、大満足の半日でした。

学びとなったのは、例えば飼育員さんから獣医師に「ヤギに脱毛が見られた」と相談の連絡が入った時に、すぐに診察や薬の処方などを行う前に、まず確認をすべきことは何か?という問いを考えて、実際にどうしたかの事例を聞いた質問コーナーです。

そのきには、

・脱毛の範囲はどの程度か

・脱毛したあとの皮膚の様子はどのような感じであるか

・脱毛付近に外傷があるかなど

・他のヤギと喧嘩をしていたなどの様子は見られなかったか

・食欲はあるか

・いつもと違った様子はあるか

ということを実際に飼育員さんから聞いたそうです。処置をする前に、まずは患者さん(ヤギ)の情報をヒアリングする、コミュニケーションが大切だそうです。

脱毛と一言でいっても、他のヤギとの喧嘩によるもの(外傷)、ストレスによるもの、寄生虫や病気によるもの、などのいろいろな要因があるとのことでした。それらの情報をコミュニケーションで集めてから、適切な処置をするとのことで、日々の動物の観察がとても大切だとのことです。

また、別件ですが驚いたことに講師の獣医師の講師のHさんが、私が昔教えていた生徒だったのです!向こうから話しかけてくれて、あれ!、あ!!っと思ったのですが、中高生の面影はありつつも、緊張しているといってはいましたが、人前でしっかり話をしていて、立派な獣医師さんになっていて驚きました。まさかこんな出会いがあるのですね。びっくりです。

中学のときからすでに獣医師になりたいと決めめていた、講師のHさんに、中学のとき、どのようなことを勉強するといいのか?という質問をよせてみました。獣医師は免許をとらなければならないので、やはり国数英理社の日々の教科の勉強はとても大切であるということを言っていました。また彼女は推薦で進学をしたのですが、受験科目だけではなく、偏りがなく満遍なく学習をすること、つまり得意科目を伸ばすのもよいが、苦手科目について穴埋めをしておくこともとても大切だということを言っていました。

中でも印象に残ったのが、獣医師になってから、英語や美術や体育の学びがその時は気がつかなかったが、役立っていると言っていたのが印象的です。この点について、後日詳しくメールにて聞いてみたところ、

 動物園では、動物をできるだけ野生環境に近い姿で来園者に見せられるよう工夫しているのですが、来園者側からも動物のいきいきとした姿が見られるよう展示場を整備するためには、動物についての知識だけでなく看板の色合いだったり、植栽の配置だったり、美術のセンスが必要なこともあります。
 動物園での業務は、園内を歩いて回ったり、重いものを運んだり、体力勝負なところもあるので、体育や部活動をやっていれば少し得をする気がします。
 また、講義でも出てきました吹き矢(麻酔をかけるため)は、肺活量が重要なので、吹奏楽をやっている人には有利かもしれません。さらに、今回の講演のように、動物園ではいろいろな方に向けて発表をしたり、お話する機会が多いので、分かりやすく相手に伝えるコミュニケーション能力や、文章力も大事です。
中学や高校の頃に学んだことは、いろいろな場面で役立つのですが、なによりも、苦手な科目を克服したり、大変なことを乗り越えたりと、努力した経験こそが将来への自信につながるのだと思います。
 私自身、中学生の頃は勉強が苦手な生徒でしたが、大学受験、就職活動、国家試験の受験勉強などなど、なんとか乗り越えてきたので、これからも乗り越えられる気がします。
と、このような答えがかえってきました。Hさんありがとうございました。

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