プラカップで地震を再現!液状化現象は「粒の大きさ」で決まる
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
地震のニュースで、頑丈なはずの建物が傾いたり、マンホールだけが地面から飛び出してきたりする映像を見たことはありませんか? その正体は、地面がまるで液体のようにふるまってしまう「液状化現象」です。今回は、この現象をプラカップという身近な道具で、教室でも再現できる実験として行ってみました。
液状化現象の実験をプラカップで行いました。カップの中には砂、砂よりも粒子の小さい土、砂よりも粒子の大きい砂利を用意しました。100mlビーカーいっぱいに砂をつめて、カップにうつしていき、カップを20個用意しました。
実験の準備と、地震の起こし方
カップにいれた砂に水をいれていき、水をかけて全体を湿らせます。その際に表面に水が出てきた場合は、ティッシュで表面にある水を優しく拭き取り、表面を乾いた状態にしておきます。これを横にゆらして地震を起こしていきます。
10班あるので、班に2つずつカップを配り、一つのカップだけを揺らしてみます。
揺らす前

揺らした後

このように揺らす前と後で、水が表面に浮き出てくるのがわかります。ただし揺らす前と揺らした後で、高さが同じというところがポイントになります。
「見た目は同じ高さなのに、水だけ出てくる」その理由
実はこの「高さが変わらない」という点こそ、液状化現象の本質を表しています。砂の粒と粒の間には、もともとすき間(隙間水)として水がしみ込んでいます。揺れが加わっていないときは、砂粒同士が組み合ってしっかりと支え合い、その隙間に水が閉じ込められた状態になっています。ところが横揺れが加わると、砂粒同士の組み合わさり方が一瞬崩れ、粒がバラバラと動きやすい状態になります。すると、粒と粒の間に閉じ込められていた水が押し出されるように地表へしみ出してくるのです。全体の体積(高さ)はほとんど変わらないのに、支えを失った水だけが浮き上がってくる、というのが液状化のからくりです。
「粒の大きさ」がすべてを決める
土でやってみると、液状化があまりみられません、、、。

砂利でやってみると、液状化はほとんど起こりませんでした。

面白いのは砂よりも粒子が細かくてもあまりおこらない、粗くてもあまり起こらないということです。奥が深いですね。
この結果は、液状化が「ちょうどよい粒の大きさ」でしか起きにくいという、地質学的にも重要な性質を教えてくれます。粒が細かい土(泥質の土)は、粒同士が電気的な力などでくっつきやすく、すき間も非常に小さいため、水がすき間を移動しにくく、揺れても水がしみ出しにくいと考えられます。
逆に粒が粗い砂利は、すき間そのものは大きいのですが、粒どうしがゴツゴツと引っかかり合ってがっちり組み合っているため、多少の揺れでは崩れにくいのです。そのちょうど中間にある「砂」というサイズが、崩れやすさと水の動きやすさを両方兼ね備えているために、もっとも液状化を起こしやすいというわけです。実際の地震被害でも、埋立地や川沿いの砂地盤で液状化被害が多く報告されているのは、こうした粒の大きさの条件と深く関係しています。
なおこちらは水槽を使ってやってみたものです。プラカップよりもダイナミックに実験ができますが、班に一つやろうとすると少し手間がかかってしまいますね。
揺らす前。

揺らした後。


砂と泥、同じ「地面」でもここまで違う
また砂のかわりに泥をいれて、同じようにおこなってみると、砂と比べて泥はあまり液状化が起きないという結果になりました。
こっちが泥の揺らす前。

揺らした後。

砂と泥は、どちらも「地面」として見た目は似ていますが、粒の大きさや組成がまったく違うため、地震に対する弱さもまったく異なります。プラカップひとつ、粒の種類ひとつ変えるだけで結果ががらりと変わるこの実験は、私たちが普段何気なく歩いている「地面」が、実はとても繊細なバランスの上に成り立っていることを教えてくれます。
お問い合わせ・ご依頼について
科学の不思議やおもしろさをもっと身近に!自宅でできる楽しい科学実験や、そのコツをわかりやすくまとめています。いろいろ検索してみてください!
・科学のネタ帳の内容が本になりました。詳しくはこちら
・運営者の桑子研についてはこちら
・各種ご依頼(執筆・講演・実験教室・TV監修・出演など)はこちら
・記事の更新情報はXで配信中!
科学のネタチャンネルでは実験動画を配信中!
9月のイチオシ実験!
お弁当箱をプラバンがわりにしてキーホルダーを作ろう!
テレビ番組監修・イベント等のお知らせ
- 8月27日(木)科学監修番組放送予定
- 9月20日(日)ダビンチマスターズ出演予定
- 10月10日(土)11:15~12:00 千葉市科学フェスタ2026「桑子先生の回転科学ショー」にてサイエンスショーを行います。
- 12月26日(土) ナリカサイエンスアカデミー(教員向け実験講習会)開催
書籍のお知らせ
- 『高校入試 分解問題集 理科』(学研)…難しい問題も小さな問題に分解することで、問題を解くことができます。そんな分解の技術が身につくように深く関わりを持って作りました。
『大人のための高校物理復習帳』(講談社)…一般向けに日常の物理について公式を元に紐解きました。特設サイトでは実験を多数紹介しています。※増刷がかかり6刷となりました(2026/02/01)

- 『きめる!共通テスト 物理基礎 改訂版』(学研)… 高校物理の参考書です。イラストを多くしてイメージが持てるように描きました。授業についていけない、物理が苦手、そんな生徒におすすめです。特設サイトはこちら。

各種SNS(更新情報をお届け!)
【日本語】X(Twitter)/instagram/Facebook 【英語】BlueSky/Threads
Explore
- 楽しい実験…お子さんと一緒に夢中になれるイチオシの科学実験を多数紹介しています。また、高校物理の理解を深めるための動画教材も用意しました。
- 理科の教材… 理科教師をバックアップ!授業の質を高め、準備を効率化するための選りすぐりの教材を紹介しています。
- Youtube…科学実験等の動画を配信しています。
- 科学ラジオ …科学トピックをほぼ毎日配信中!AI技術を駆使して作成した「耳で楽しむ科学」をお届けします。
- 講演 …全国各地で実験講習会・サイエンスショー等を行っています。
- About …「科学のネタ帳」のコンセプトや、運営者である桑子研のプロフィール・想いをまとめています。
- お問い合わせ …実験教室のご依頼、執筆・講演の相談、科学監修等はこちらのフォームからお寄せください。


