「その岩、どこで生まれた?」手を動かして学ぶ火成岩ワーク!(ワークシートあり)
中学理科の「岩石の分類」、特に火成岩のところって、教科書で見ても写真だとピンとこない、名前の区別もつきにくい、そんなふうに感じたことがある先生、少なくないのではないでしょうか。
今回、実習生と一緒に火成岩の分類授業を行うにあたり、少しアクティブな要素を入れてみようと思い、6種類の火成岩を実際に手に取って動かして分類させるワークをやってみました。想像以上に生徒の反応が良く、改めて「見て・触って・考える」授業の良さを感じたので、ご紹介します。
■ 授業の準備物
• 6種類の火成岩の標本(カコウ岩、センリョク岩、ハンレイ岩、リュウモン岩、アンザン岩、ゲンブ岩)
※標本セットがない場合は写真カードなどで代用可(できれば触れるものが望ましい)
• A3サイズのワークシート(分類チャート用)
→ 広めのマス目に「色」「結晶の大きさ」などのキーワードを記載
• 色シールやマグネット、付箋など(分類用に)
• 火成岩分類の語呂合わせ「しんかんせんはかりあげ」を書いた掲示カードやスライド
■ 授業の流れ(45分想定)
1. 導入(10分)
火山の活動やマグマの話をした後、「火成岩には2種類ある」という話からスタート。
【問い】「この石たちは、どこでどんなふうにできたんだろう?」
2. 色で分ける(10分)
まずはペアで、「明るい色/暗い色」で2つずつ分けてみよう、という活動。
→ 「見た目って意外と違うんだな」と気づかせるところがポイント。
3. 結晶の大きさに注目(10分)
ここでA3ワークシートの登場。机の中央に置いて、石をそこに並べながら考える。
→ 深成岩と火山岩の違いを「つぶが大きい・小さい」で整理。
4. まとめとふりかえり(10分)
なぜ結晶の大きさが違うのか?
→ マグマが地下深くでゆっくり冷えたか(深成岩)、**地表近くで急に冷えたか(火山岩)**の違い。
生徒の感想を聞きながら、「実物を見て・動かして・考える」理科の楽しさを実感させる。
参考. 語呂合わせで定着(5分)
「しんかんせんはかりあげ」を紹介。
– 深(成岩)・カ(コウ岩)・セン(リョク岩)・ハ(ンレイ岩)
– 火(山岩)・リ(ュウモン岩)・ア(ンザン岩)・ゲ(ンブ岩)
手を動かした後なので、語呂が記憶に入りやすい。
参考の知識について
岩石名 |
岩石の種類 |
結晶の大きさ |
色の特徴 |
特徴のポイント |
---|---|---|---|---|
カコウ岩 |
深成岩 |
大きい(はっきり見える) |
明るい色(白〜ピンク系) |
石英や長石が多く、キラキラして見えることも |
センリョク岩 |
深成岩 |
大きい |
中間色(灰色っぽい) |
色と結晶の中間タイプ。変化の途中のような印象 |
ハンレイ岩 |
深成岩 |
大きい |
暗い色(黒っぽい) |
暗い色で、重そうな見た目 |
リュウモン岩 |
火山岩 |
小さい(ざらざら) |
明るい色(白っぽい) |
軽石に近い質感。明るくて軽い |
アンザン岩 |
火山岩 |
小さい(細かい粒) |
中間色(灰色) |
火山岩の中ではよく見るタイプ |
ゲンブ岩 |
火山岩 |
小さい(ほぼ見えない) |
暗い色(真っ黒) |
ガラスのような質感。黒曜石に似ていることも |
岩石名 |
読み方 |
名前の由来・意味 |
---|---|---|
カコウ岩 |
花崗岩(かこうがん) |
「花」は結晶の模様が花びらのように美しいことから。「崗」は「丘・岩山」の意味。=花のような模様のある固い岩。英語では「granite」。 |
センリョク岩 |
閃緑岩(せんりょくがん) |
「閃」は鉱物の輝きや光沢、「緑」はやや緑がかった色調を示す。=キラリと光る緑がかった深成岩。英語では「diorite」。 |
ハンレイ岩 |
斑れい岩(はんれいがん) |
「斑」はまだら模様、「れい」は「れい青色(れいしょく)」=青黒い色のこと。=黒っぽいまだら模様の岩。英語では「gabbro」。 |
リュウモン岩 |
流紋岩(りゅうもんがん) |
「流」はマグマが流れたこと、「紋」は流れる模様のような結晶構造。=マグマの流れが作った模様を持つ岩。英語では「rhyolite」。 |
アンザン岩 |
安山岩(あんざんがん) |
日本の安山山脈(アンデス山脈)でよく見られることが名前の由来。=アンデス由来の火山岩。英語では「andesite」。 |
ゲンブ岩 |
玄武岩(げんぶがん) |
「玄」は黒、「武」は強さの象徴。黒くて硬いイメージから名づけられた。=黒くて強そうな火山岩。英語では「basalt」。中国神話の四神「玄武」にも関係があるという説も。 |
実際にやってみて感じたこと
ちょっとしたことなんですが、自分たちでああでもないこうでもないと分類を動かして考えるって、思った以上に面白いんですよね。私が中学生の頃、「ただ覚えるだけ」だった火成岩も、こうやって目で見て手で触れて、結晶のつぶの大きさまでじっくり確認すると、「ああ、これは深いところでゆっくり冷えたんだな」って想像が広がってくる。ワークシートを広げて石を並べていく姿も、なんだか理科らしくていいなあと思いました。自分たちで発見していく時間があると、やっぱり学びの質も違ってくる気がします。
おまけ:ワークシートはこちら
👇分類用A3ワークシートは以下からダウンロードできます。
岩石の観察
プラスチックコップ(小)を使って岩石をスケッチするときに活用できるものを作りました。それがこちらです。プラスチックカップの底をカッターで切って抜きました。
上からみるとこのような感じで直径がおよそ4cmです。
使い方は簡単で、これを岩石にあてます。
円の中に入った部分を書いていきます。このコップを当て続ける必要はなく、特徴が捉えられていそうなところにあててスケッチをしていきます。実際に生徒が書いたスケッチの例がこちらです。
こうすることによって、複数の岩石のサイズ感が比較できます。泥岩、砂岩、礫岩などの比較をするときにも使えますし、何より集中してスケッチをすることができました。
カップはダイソーで買ってきました。ネット通販などでも買えますね(アマゾン)。
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