道ばたの雑草が授業の主役に!イヌムギで学ぶ単子葉類の不思議
桑子研
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イヌムギの観察 ~身近なイネ科植物を授業で活用~
道端でよく見かける雑草にも、理科の授業で活かせる発見がたくさんあります。今回は、イネ科スズメノチャヒキ属の植物「イヌムギ」を観察し、単子葉類の特徴や閉鎖花の不思議について学びます。
🌱 イヌムギの基本情報
イヌムギは、道端や空き地などに自生する 単子葉植物(イネ科) です。イネ科の特徴をしっかりと持っており、授業で単子葉類の理解を深めるのに最適な教材になります。
🔎 イヌムギの特徴
- 根:ひげ根(単子葉類の特徴)
- 葉:平行脈(単子葉類の特徴)
- 花期:5~8月
- 花序:茎の先端に円錐花序を形成
- 繁殖:花冠が開かずに種子を作る「閉鎖花」を持つ
イネムギの花は「閉鎖花」と呼ばれる特殊な構造を持っており、開かないままで受粉し結実する というユニークな性質があります。
🧪 授業準備:イヌムギの観察実験
📌 準備するもの
- イヌムギ(道端などで採取)
- ルーペまたは顕微鏡
- ピンセット(花や葉を細かく観察するため)
- スケッチ用紙と筆記用具
- 水(根の洗浄用)
📝 観察の手順
- 葉の観察
- ルーペを使って葉の脈を確認 → 平行脈(単子葉類の特徴)
- 双子葉類のタンポポなどと比較し、葉脈の違いを確認
- 根の観察
- 掘り起こしたイヌムギの根を水で軽く洗い流し、構造を観察
- ひげ根の特徴をスケッチし、双子葉類の主根・側根と比較
- 花の観察(閉鎖花の確認)
- 茎の先端に形成される花序を観察(5~8月の花期)
- 花が開かずに種子を作る「閉鎖花」の構造に注目
- ルーペや顕微鏡で内部のつくりを確認し、通常の開放花と比較
🌟 まとめと発展学習
🌾 イヌムギの観察を通して学べること
- 単子葉類の特徴(平行脈・ひげ根)を実際に観察する
- 閉鎖花という特異な花のしくみを学ぶ
- イネ科植物の繁殖戦略について考える
閉鎖花は、 風媒花の受粉が困難な環境でも確実に種子を残すための進化 と考えられています。生徒と一緒に「なぜ花を開かずに結実するのか?」を考えることで、植物の繁殖戦略について深い理解を得ることができます。
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