しゅわしゅわ反応のひみつ!クエン酸×重曹で楽しく学ぶ化学変化(吸熱反応)
【身近なもので安全に!】クエン酸×重曹でつくる“発泡反応”実験のススメ
ある日、科学部の生徒たちが「面白いものを見せたいんです!」と声をかけてきました。見せてもらったのは、クエン酸と重曹(炭酸水素ナトリウム)を混ぜ、水を加えて泡を発生させる実験。小さなビーカーの中でしゅわしゅわと発生する泡に、見ているこちらも思わず笑顔になります。
この実験、実はラムネや入浴剤の“しゅわしゅわ”と同じ反応。どちらの薬品も食品や日用品に使われている成分なので、安全性が高く、家庭でも再現可能です。中学生の探究活動にもぴったり。では、何が起きているのでしょう?
■ 実験のしくみを化学で解説!
クエン酸(C₆H₈O₇)は、**カルボキシル基(-COOH)**を複数もつ弱酸です。重曹(NaHCO₃)は弱アルカリ性。これらを反応させると、以下の化学変化が起こります。
1. クエン酸の-H(プロトン)と重曹のNa⁺が交換される
2. 中和反応によりクエン酸ナトリウム(C₆H₅O₇Na₃)が生成
3. 同時に、炭酸(H₂CO₃)が生成され、これがすぐに**水(H₂O)と二酸化炭素(CO₂)**に分解
このような化学反応式で表されます:
C₆H₈O₇ + 3NaHCO₃ → C₆H₅O₇Na₃ + 3CO₂ ↑ + 3H₂O
つまり、しゅわしゅわ泡の正体は二酸化炭素なのです。
■ なぜ冷たく感じるのか?
この反応は吸熱反応。つまり、周囲の熱を使って反応が進むため、手で触るとひんやりと感じられます。ちょっとした物理化学の導入にもなるポイントです。
■ 授業活用のアイデア
この実験は、以下のような単元で活用できます。
• 中学1年「物質のすがた」 … 気体の発生、物質の変化
• 中学2年「化学変化と原子・分子」 … 化学反応式の読み取り・生成物の確認
• 探究活動 … 「安全で効果的な入浴剤を作ろう!」などテーマ設定も◎
■ 準備物と手順(例)
準備物:
• クエン酸(粉末/薬局・100均で可)
• 重曹(NaHCO₃/家庭用でOK)
• スポイトまたはスプーン
• 水
• 小さなビーカーや紙コップ
手順:
1. 重曹とクエン酸を1:1の割合でコップに入れる
2. 水を少量加える
3. 発泡を観察、発生した気体の特徴を記録
理科の授業では、「身近さ」と「安全性」が大事な要素。このクエン酸×重曹の実験は、その両方を兼ね備えたうえに、化学的な本質まで学べる優秀な題材です。
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