花が散った後も面白い!桜の葉の知られざる戦略・サクラと蜜腺

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

春が過ぎ、桜の花が散ると、鮮やかな緑の葉が次々に芽吹いてきます。桜の花が満開になっているときには、葉はほとんど見られませんが、花が散ると同時に葉がどんどん成長してくるのは、何とも不思議で面白いですね。

・サクラはバラ科

・落葉広葉樹

・サクラの果実はサクランボまたはチェリーと呼ばれ、世界中で広く食用とされる。

・雌雄同株

・中高木から低木程度

・若い樹皮は光沢がありカバノキにも似た水平方向の皮目が出来、この部分は細胞に隙間が生じて呼吸孔になっている。

・葉は秋になると紅葉する。根は浅く水平に広がり、ここから新たな茎(ひこばえ)がしばしば生え、不定根も良く発生する。

・花びらの数は五枚から百数十枚まで幅広い。

・花弁が五枚までのものを一重、五枚から十枚のものを半八重、十枚以上の花弁を持つものを八重といいサクラの場合はヤエザクラと称している。

春の風物詩として親しまれる桜ですが、実はその葉にも興味深い特徴がたくさんあります。

さて、桜の葉をじっくり観察してみると、葉脈の入り方に注目できます。葉の表面をよく見ると、葉脈が網の目のように張り巡らされていることに気づくでしょう。これは「網状脈」と呼ばれるもので、広葉樹に多く見られる特徴です。

一方で、チューリップなどの単子葉植物は「平行脈」と呼ばれる葉脈の入り方をしています。この違いを意識しながら、いろいろな植物の葉を見比べてみるのも面白いですね。

さらに、桜の葉にはもうひとつ興味深い特徴があります。それは「ギザギザ」です。葉のふちに沿って規則的に小さなギザギザが並んでおり、その間にさらに細かいギザギザが挟まっています。このように大小のギザギザが組み合わさった形は、多くの広葉樹の葉に見られるものです。葉の形には進化の歴史が刻まれているので、なぜこのような形になっているのかを考えるのも面白いかもしれません。

さらに、桜の葉の付け根に注目すると、小さな赤い丸い点があるのが分かります。これは「蜜腺」と呼ばれる器官で、甘い汁を分泌する場所です。実際に舐めてみると甘みを感じることがあるそうですが、私は試してみたものの、特に甘さを感じることはありませんでした。(個人差があるので、試す際は自己責任で!)

では、なぜ桜の葉には蜜腺があるのでしょうか?これには植物の巧妙な戦略が隠されているのです。調べてみると、この蜜腺は「アリをおびき寄せるため」にあると考えられています。

植物の葉は、ガの幼虫などの昆虫に食べられてしまうことがあります。しかし、植物としてはできるだけ葉を守りたい。そこで、蜜を分泌してアリを引き寄せるのです。アリは蜜を目当てに桜の葉の周りに集まり、結果としてガの幼虫やその卵を見つけると食べたり、巣に持ち帰ったりします。こうして、桜の木はアリの助けを借りて自分の葉を守っているそうです。桜の花にばかり注目しがちですが、葉にもこんな秘密が隠されていたとは驚きですよね。自然の仕組みを知ると、普段何気なく見ている風景も少し違ったものに見えてくるかもしれません。ぜひ、身の回りの植物にも目を向けてみてください!

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