パスタがラーメンに大変身!?重曹が生む「おいしい化学反応」の秘密(チャンハウス)【科学監修】
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
「あー、無性にラーメンが食べたい!」でも、家にあるのはパスタだけ…。そんな絶望的な状況(?)を救う、魔法のような裏ワザをご存知でしょうか。実は、キッチンにある「重曹」をたったひと手間加えるだけで、イタリア生まれのパスタが、一瞬にして本格的な中華麺の食感に変身するのです。今回は、私が科学監修を担当したテレビ番組の内容とともに、キッチンで起きる「おいしい化学反応」の秘密をわかりやすく解説します!
フジテレビ「チャンハウス」で科学監修を担当しました
フジテレビ「チャンハウス」にて、科学監修と解説をお手伝いさせていただきました。南原清隆さん、出川哲朗さん、内村光良さんの“チャン”3人が、明日誰かに話したくなる雑学を紹介する人気番組です。

番組内で解説したのは、「パスタを茹でる時、あるものを加えるだけで中華麺になる」という驚きの科学マジックです。

※ ちなみに私は教授ではありません! 番組のテロップで「教授」と紹介されましたが、正しくはサイエンストレーナーですので、この場を借りて訂正させていただきます(笑)。
なぜパスタが中華麺に?鍵は「アルカリ」の力
さて、なぜパスタが中華麺に変わるのでしょうか?その正体は、中華麺特有のコシや風味を生み出す「かん水」という添加物にあります。かん水の主成分は、炭酸ナトリウムなどの「アルカリ性」の物質です。小麦粉に含まれる「グルテン」というタンパク質は、アルカリ性と反応すると、結合が強くなってプリッとした強いコシが生まれ、色も黄色っぽく変化します。つまり、パスタを茹でるお湯を、かん水と同じ「アルカリ性」にしてあげればいいのです。そこで登場するのが、お掃除や料理でおなじみの「重曹(炭酸水素ナトリウム)」。重曹は水に溶けると弱アルカリ性を示すため、これをお湯に入れるだけで、パスタが中華麺へと「化ける」わけですね。

麺の科学 粉が生み出す豊かな食感・香り・うまみ (ブルーバックス 2105)
この本によると、重曹を入れたお湯で麺を茹でると、次のような驚きの変化が起きているそうです。1. 加熱による強アルカリ化重曹(炭酸水素ナトリウム)は、お湯で加熱されると65℃付近から分解が始まり、二酸化炭素を放出して「炭酸ナトリウム」に変わります。

この炭酸ナトリウムは、水に溶けると強いアルカリ性(pH11以上!)を示します。
2. タンパク質の変身(脱アミド反応)強アルカリ性の環境では、小麦粉のタンパク質が反応を起こし、アンモニアが分離します。この時に発生する微量なアンモニアが、中華麺独特のあの匂いの正体なんです。

参考サイト 「工学院大学 素麺の歯ごたえアップ!」
3. イオン結合でコシがアップアルカリの力でタンパク質分子の結合が強まり、網目構造がガッチリと固まります。これがパスタにはない「中華麺の弾力」を生むのです。
いざ実践!重曹パスタ実験レポート
それでは、実際の実験の様子をご覧ください。
水1.5Lに対し、大さじ1.5杯の重曹を投入します。
加熱すると、シュワシュワと二酸化炭素の泡が発生します。これぞ化学反応の証拠!
比較のために、「普通のお湯」と「重曹入りのお湯」の2種類で茹でてみました。

重曹入りの方は、まるでラーメン屋さんの厨房のような、独特の香りが漂ってきます。
茹で上がりを比較すると(左:普通のお湯、右:重曹水)、右側の麺の方が色が濃く、黄色味を帯びているのがわかります。

食べてみると、食感はまさに中華麺!プリプリとした弾力がパスタとは明らかに違います。※重曹を入れすぎると少し苦味が出るので、分量には注意が必要です。
さらに応用!ターメリックで色の変化を観察しよう
最後に、自由研究にもぴったりな「色の変化」の実験をご紹介します。カレーによく使われるスパイス、ターメリック(ウコン)を使った実験です。📖 『ぶっ飛び!科学教室』(化学同人)より
ターメリックに含まれる成分は、アルカリ性に反応して赤くなる性質があります。
- パスタ(中性)を茹でると… オレンジ色
- 中華麺(アルカリ性)を茹でると… 赤色!
お湯にターメリックを一振りするだけで、麺がpH試験紙のような役割を果たしてくれるのです。これぞ、食べて学べる科学実験ですね。キッチンは、世界で一番身近な「化学実験室」です。皆さんも、次にパスタを茹でる時はぜひ重曹を手に取ってみてください。きっと、いつもの食卓がもっと楽しくなりますよ!
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