なぜ青い炎が最強?ガスバーナーの点火と消火を「ガスの気持ち」になって完全理解!

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

ガスバーナーは、一見難しそうに見えるかもしれませんが、心配はいりません。今回はガスバーナーの使い方についてまとめました。ガスバーナーの操作一つひとつには、すべて科学的な理由があります。なぜその順番なのか?なぜ炎の色が変わるのか?その「なぜ?」を知ることで、ただの作業は、知的好奇心をくすぐる「探究」へと変わります。

安全こそ科学の第一歩

本格的な実験に入る前に、まずは周囲を整えましょう。これは、安全に実験を進めるための大切な準備です。

  • コックとねじの確認:ガスバーナーのガス調節ねじと空気調節ねじがスムーズに動くか、指で軽く回して確認しましょう。確認が終わったら、火をつける前に必ず「軽く閉めて」おきます。
  • 燃え差し入れの配置:使い終わったマッチの置き場所です。利き手のすぐ近くに置いておくことで、火のついたマッチを持ったままウロウロすることなく、スムーズに後始末ができます。
  • 濡れ雑巾のスタンバイ:万が一の事態に備える、頼れる用心棒です。予期せぬ火が出たときも、慌てず上から被せれば、酸素を断ってすぐに消火できます。

点火の手順と科学

いよいよ点火です。ここでのポイントは「ガスの流れをイメージし、供給源の遠いところから操作する」こと。ガスの大元から、少しずつバーナーへとガスを送り届けるイメージです。

  1. 2つのねじが〔しまっていること〕を確認するまずはバーナー本体の「ガス調節ねじ」と「空気調節ねじ」が閉まっているか最終確認。ここがガスの最後の関所です。ここが閉まっていれば、ガスが勝手に出てくることはありません。
  2. 〔元栓〕を開け、次に〔コック〕を開くガスの旅の始まりです。一番大元の〔元栓〕を開き、次に机の上にある〔コック〕を開きます。これで、ガスの通り道がバーナーの手前まで確保されました。
  3. マッチの火を、燃焼口にスタンバイ先に火のついたマッチをガスバーナーの口に近づけておきます。なぜなら、ガスが出てきてから火を探していると、その間に危険な量のガスが空気中に広がってしまうからです。「出口でガスを待ち構える」のが鉄則です。
  4. 〔ガス調節ねじ〕をゆっくり開いて点火!いよいよクライマックス。マッチの火を近づけたまま、〔ガス調節ねじ〕をゆっくり、本当に少しずつ開きます。「シュー」という音と共にガスが出て、マッチの火が引火し「ボッ」と音を立てて点火します。マッチは燃差し入れに入れましょう。

  5. 炎の衣替え!オレンジから青へ点火した直後の炎は、オレンジ色をしています。これは、空気が足りていない「不完全燃焼」の状態。ススが多く、温度も比較的低い炎です。実験で使うのは、もっと高温でクリーンな青い炎。〔ガス調節ねじ〕を押さえながら〔空気調節ねじ〕をゆっくり開いていくと、炎は「ゴォー」という音と共に、美しく安定した〔青色〕に変わります。これが酸素が十分に行き渡った「完全燃焼」の証です。

消火の手順

実験が終わったら、今度は安全に炎を消します。点火の時とは全く逆の順番、つまり「火に近いところから閉めていく」のがルールです。バーナーに残ったガスを、完全に追い出すイメージで行いましょう。

  1. 〔空気調節ねじ〕を閉める(炎をオレンジに戻す)
  2. 〔ガス調節ねじ〕を閉める(炎が消える)
  3. 〔コック〕を閉める
  4. 〔元栓〕を閉める

この順番を守ることで、ガス管の中に炎が逆流する「逆火」という現象を防ぎ、ガスが配管の中に残ってしまうのを防ぐことができます。ガスバーナーは、正しく使えば安全で、科学の世界を何倍も面白くしてくれる最高のパートナーです。この手順をマスターして、様々な化学変化をその目で確かめてみてください!

 

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ガスバーナーの付け方・消し方

ガスバーナーの付け方・消し方についてまとめました。やってみなければわからない!のですが、実験動画では実際に火をつけて説明をしています。

ガスバーナーの使い方

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