原子核をピンポン球にしたら、電子は東京駅からどこまで飛ぶ?
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
東京駅がすっぽり入る! 原子の中は「スカスカ」だった、という衝撃の事実
もし原子核がピンポン球だったら、電子はどこにいる?
物質はすべて原子でできている。そう聞くと、原子の中はぎっしりと粒子が詰まっているようなイメージを持ってしまいがちです。ですが実際のところ、原子の中身はほとんどが何もない「空間」だということをご存知でしょうか。
その事実を実感していただくために、今回はひとつの思考実験をしてみました。もし水素原子の中心にある陽子(水素原子核)を、直径5cmのピンポン球くらいの大きさに拡大してみたら、電子はいったいどのあたりを飛んでいることになるのでしょうか。実際に計算をしてみました。
計算してみたら、まさかの「東京駅から半径2.5km」
水素原子の直径はおよそ1×10のマイナス10乗メートル、そして陽子(原子核)の直径はおよそ1×10のマイナス15乗メートルです。この2つの数字を比べてみると、その差はなんと10万倍。つまり、原子核と原子全体の大きさの比は、1:100000ということになります。
そこで、陽子を直径5cmのピンポン球に見立てて、同じ比率で水素原子全体の大きさを計算してみると、その直径はおよそ5kmにもなることが分かりました。半径にするとおよそ2.5kmです。試しに、東京駅を中心にして半径2.5kmの円を描いてみました。

この地図を見ていただくと分かる通り、東京駅を中心にして皇居はもちろん、秋葉原や六本木のあたりまで、丸ごとすっぽりと入ってしまうほどの大きさです。この広大な範囲のちょうど真ん中に、直径わずか5cmのピンポン球(原子核)がぽつんと置かれていて、そのまわりの空間を、さらにずっと小さな電子が飛び回っている。これが原子の実際の姿なのです。
原子はほとんどが「何もない空間」でできている、というイメージが、こうして具体的な距離に置きかえてみると、ぐっとリアルに感じられるのではないでしょうか。私たちの体も、机も、地球さえも、突き詰めればこの「スカスカな構造」の集まりだと考えると、なんとも不思議な気持ちになりますね。
こちらにスプレッドシートで計算をまとめましたので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
自分の頭で計算してほしいから、あえて「答え」は載せません
この面白さを、ぜひ授業でも生徒たちに味わってもらいたいと思い、掲示物を作ってみました。それがこちらです。


実はこの掲示物、あえて計算結果を載せていません。ちょっと意地悪でしょうか(笑)。ですが、答えを最初から教えてもらうよりも、自分の手で比を計算して、「実際どれくらいの大きさになるんだろう」とワクワクしながら数字を追いかけていくほうが、記憶にも強く残るはずです。今回は、そんな「自分で確かめる楽しさ」を味わってもらえたらと思い、あえてこのような形にしてみました。
もしよろしければ、授業などでご利用ください。Googleスライド
後日、掲示物をアップグレードしてみました
その後、より分かりやすく伝わるように、掲示物をアップグレードしてみました。こちらもぜひご覧ください。

https://phys-edu.net/wp/?p=39362
目に見えないほど小さな原子の世界も、こうして身近な距離感に置きかえてみると、ぐっと想像しやすくなるものです。ぜひみなさんも、自分の住んでいる街を中心に円を描いて、原子の世界を体感してみてはいかがでしょうか。
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