目に見えない電気を「見える」にする!オームの法則実験を成功させる4つの準備術(指示の多い実験)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
「スイッチを入れた瞬間、電球がつく。」——その当たり前の現象の裏には、電気の流れを支配するシンプルで美しい法則が隠れています。それがオームの法則です。ところが、いざ実験してみると「なぜかうまくいかない班がある」「予想と違う結果に首を傾げる生徒がいる」という場面に出くわしませんか?目に見えない電気だからこそ、実験操作の習熟が成功の鍵を握ります。今回は、授業をスムーズに、そして深い学びにつなげるための準備ポイントをご紹介します!
なお、この実験については指示が多くて探究的に学べない教材だと考え、指示を少なくしてより探究的に学べる授業にするために授業展開を練り直した展開案はこちらです。
授業準備のポイントと手順
1. 回路接続の徹底練習!手を動かす時間を確保しよう
オームの法則の実験に入る前に、抵抗器・電流計・電圧計・電源装置・スイッチといった基本的な部品を使って、いくつか簡単な回路を組む練習時間を設けましょう。「回路図は読めるけど、実物でつなぐと混乱する」という生徒は意外と多いものです。手を動かす経験が、実験本番の自信につながります。
準備物:回路を組むための基本的な部品一式、回路図が描かれたワークシート。
手順:
- 直列回路・並列回路のそれぞれの回路図を見せ、教師が実際に組んでみせる。
- 生徒にワークシートの回路図を見ながら、実際に回路を組ませる。
- 回路が組めたら、教師が個別に確認し、誤りを指摘しながら正しい接続方法を指導する。
- 特に、電流計や電圧計のつなぎ方(電流計は直列、電圧計は並列)は、その理由も含めて繰り返し説明し、体で覚えさせましょう。


2. 電源装置の特性を理解させ、安全な使い方を徹底しよう
電源装置は、実験の要となる重要な機器です。学校に複数種類ある場合は、それぞれの操作方法・特徴・安全上の注意点を丁寧に説明する必要があります。「なんとなく電圧を上げていったら抵抗器が熱くなった」という経験は、実は大切な学びの瞬間。でも事前に危険性を知っておくことが大切です。

準備物:使用する電源装置(複数ある場合はすべて)、各電源装置の取扱説明書、ブレーカーの位置を事前に確認しておく。
安全面での指示のポイント:
- 「+」「-」端子の意味、電圧の調整方法、電流の測定方法(内蔵電流計がある場合)を具体的に説明する。
- 電圧を上げすぎたりショートさせたりするとどうなるか、具体的な例を交えながら安全な操作の重要性を強調する。
- 抵抗器の発熱にも注意が必要です。10Ωの抵抗器に5Vをかけると発熱が大きくなりすぎる場合があります。20Ω・30Ω・40Ωなど抵抗値の大きいものを選ぶと、同じ電圧でも電流が小さくなり、発熱を抑えられます。
3. 測定値と単位変換の練習を仕込む!
実験で得られた測定値は表にまとめるのが基本です。ここで意外な落とし穴があります。テスターの表示は「mA(ミリアンペア)」であることが多く、「A(アンペア)」への変換が必要です。単位を間違えると、グラフがうまく描けなかったり、オームの法則の式が成り立たなくなったりします。単位変換は、理科全体で役立つ重要なスキルです!
準備物:実験結果を記入するワークシート(電圧・電流(mA)・電流(A)の列を設ける)、電卓。
指導のポイント:
- 測定した電流値をmAで記録したあと、Aへの変換方法(1A = 1000mA)を説明し、実際に計算させる。
- ワークシートに「mA」と「A」の両方の列を設け、記録させることで単位の重要性を意識づけできます。
4. グラフ作成の基本を再確認!
実験結果をグラフにまとめるとき、多くの生徒が思わず折れ線グラフを描いてしまいます。でも、オームの法則では電圧と電流が比例関係にあるため、原点を通る直線(比例グラフ)で表すことが正解です。「点と点をつなぐ」のではなく「全体の傾向を1本の直線で表す」という考え方は、科学的なデータの見方そのものです。
準備物:方眼紙、定規、グラフ用紙。
指導ポイント:
- 電圧と電流が比例関係にあることを再確認する。
- 測定値が多少ばらついていても、全体的な傾向として原点を通る直線を引くよう指導する。
- グラフの軸には「電圧(V)」「電流(A)」と単位を含めて記入させることを徹底する。

例えばこちらは、折れ線グラフになってしまっています。
多くの生徒はフックの法則をやっているにもかかわらず折れ線グラフを描いてしまいます。
オームの法則から深掘りできる理科の知識
オームの法則は V = IR(電圧V = 電流I × 抵抗R)というシンプルな式ですが、ここから様々な電気現象の理解へとつながっていきます。
比例関係の理解:電圧を2倍にすれば電流も2倍になる、という具体的なイメージを持たせましょう。比例の感覚は、数学と理科をつなぐ大切な橋渡しです。
抵抗の役割:抵抗器は電流の流れを妨げるもの。抵抗値が大きいほど同じ電圧でも流れる電流は小さくなることを、実験結果から実感させましょう。
電力への発展:抵抗器が熱くなるのは、電流が流れることで電力が消費され、熱エネルギーに変換されるためです。
日常生活との関連:家庭の電気製品はそれぞれ決まった抵抗値を持っています。身近な電気製品を例に挙げながら「オームの法則って生活の中にあるんだ」と気づかせることができると、理科の面白さがぐっと広がります。限られた50分の授業時間の中で、生徒が深い学びを得られるよう、事前準備と指導のポイントを絞り込むことが大切ですね。準備が整っていると、先生自身も授業に余裕が生まれ、生徒の「なぜ?」にしっかり向き合えるようになります。ぜひ試してみてください!
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テレビ番組監修・イベント等のお知らせ
- 6月3日(水)20:30〜 「
バカリズムのちょっとバカりハカってみた!」(テレビ東京)を科学監修・出演します。テーマは「 そばの出前は何人前まで運べるのか、限界を測ってみた」です。 - 6月4日(木) 7:00〜 「THE突破ファイル」(日本テレビ)について科学監修しました。
- 6月14日(日) 千葉大学インスタレーション「探究」にて講師を務めます
- 6月26日(金) 公開研究会「脱作業化!デジタル化と段階的指導で実現する オームの法則の探究」
- 6月28日(日) ダビンチマスターズ@昭和女子
- 7月18日(土) 教員向け実験講習会「ナリカカサイエンスアカデミー」の講師をします。お会いしましょう。
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