質量パーセント濃度とモル濃度の変換とppmについて
中学校で薬品を使うときに、 #質量パーセント濃度 ではなく、 #モル濃度 で書かれていることが多いので、濃度変換についてちょっとまとめておこうと思います。高校の内容が入りますが、変換できると、安心ですし、便利ですよね。
質量パーセント濃度とモル濃度の変換についてまとめておきます。質量パーセント濃度も、モル濃度も 溶質 ÷ 溶液 であるということは同じですが、それらの単位が異なります。質量パーセント濃度は、 溶質(g)÷ 溶液(g)で、モル濃度は、溶質(mol)÷溶液(L)です。
たとえば2mol/Lの塩酸を質量パーセント濃度に変換してみましょう。表をみると、7パーセントだそうです。
塩酸の分子量は、
H:1 Cl:35.5
なので、HClより、1+35.5=36.5 です。この塩酸(2mol/L)の密度は、1.03g/cm3とします。
溶質2mol→2×36.5=73g
溶液1L→1000cm3→密度をかけると→1030 g
となります。溶液1L(1030g)あたり、塩化水素が73g溶けていることになるので、質量パーセント濃度は、
73÷1030=0.070(7%)
となり、上記早見表の値と一致します。逆もまたしかりで、質量パーセント濃度からモル濃度へも、それぞれ変換をしていけば戻すことができますよね。
例えば
塩酸7% 密度1.03g/ml
これについて、モル濃度を求めてみましょう。まず1リットル当たりで溶質が何モルとけているのかを考えていきます。密度をつかって考えると、
溶液 1000cm3→1030g
この7%が溶質の量なので、
溶質 1030g×0.070=72.1g
これを塩化水素の分子量36.5で割ると、
72.1÷36.5(分子量)→ 1.97(mol)
2mol/Lとなります。よく使う薬品で、塩酸と水酸化ナトリウムについて、濃度変換ソフトを作ってくださった方がいるようです。こちらを使って確かめてみてもいいですね。
https://keisan.casio.jp/menu/person/TaikiIkekame
例えば塩酸の場合については、こちらを使って
塩酸質量%濃度からモル濃度への変換https://keisan.casio.jp/exec/user/1480248881
7パーセントといれて計算をすると、1.981mol/Lとすぐに値がでてきます。
参考
塩酸と塩化水素について
塩化水素(HCl)の水溶液(水に溶かしたもの)を塩酸といいます。
規定度について
規定度は、「N」で表記されます。モル濃度に、酸・アルカリの価数をかけたものを規定度といいます。
ppmについて
100万分率のことをppmといいます。
ppmは
溶質の質量(mg)/溶液の質量(mg)×10^6
で計算することができます。パーセントが100分率なのに対してppmは100万分率です。溶液1kgの中に1 mgの溶質が溶けていれば、1 ppmとなります。とっても小さい量だということがわかりますね。
こちらのサイトに想像できるようにまとめてあります。例えば100万円のうちの1円などはわかりやすい気がしました。重さの1トンの中の1gというのもいいですね。水1m3が1トンなので、そのうちの1gというのは水溶液の濃度を考える時などにもいいかもしれませんね。
また所属している研究会で聞いた話によると、お年玉年賀状の1等が当たる確率が1ppmだとのことです(調べてみました)。たしかに、面白いですね。
水酸化ナトリウムの換算について
練習で水酸化ナトリウムについても、質量パーセント濃度から、モル濃度へと換算してみましょう。2モルでやってみます。密度はこちらの表を参考にしました。表によると0.51mol/Lということになります。
まず2mol/Lなので、溶液1Lの質量は、1000mL×1.03g/mL=1030gとなります。このときに含まれる溶質の量は2パーセントなので、
1030×0.02=20.6g
これをモル数にすると、分子量が40なので、
20.6/40=0.515
となり、1Lあたり0.515molなので、モル濃度は0.515となり、表の値と一致します。こちらのサイトで計算をしてみたところ、ほとんど一致しました。
水酸化ナトリウムの濃度変換 https://keisan.casio.jp/exec/user/1480256880
私が執筆した高校物理復習帳の姉妹峰、高校化学復習帳もぜひ復習にお役立てください。電子版もあります。
科学のタネを発信中!
ニュースレターを月1回配信しています。
登録はこちらから
科学イベントのお知らせ
桑子 研(くわこけん)
1981年群馬県生まれ。サイエンストレーナーとして全国で実験教室やICT活用講演会を開いている。著書は『大人のための高校物理復習帳』(講談社)、『きめる!物理基礎』(学研)など10冊。