激似注意!漫画で見る「発電機」と「モーター」を見分けるコの字型回路の考え方
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
私たちの身の回りにある電気製品は、大きく分けて2つの役割を持っています。一つは「電気を作る」こと、もう一つは「電気で動かす」ことです。実は、高校物理や中学理科の教科書に必ず登場する「コの字型のレール」の上を転がる棒の実験には、この「発電機」と「モーター」という現代文明を支える2つのエッセンスがぎゅっと凝縮されています。
「コの字型回路」に隠された2つの顔
電磁誘導の問題でよく見かける、カタカナの「コ」の形をした回路。この上に導体棒が置いてあり、磁場が鉛直方向に働いています。この問題、実は全く性質の異なる2つのパターンが存在することにお気づきでしょうか。
一つ目は、導体棒に外から力を加えて無理やり動かすパターンです。このとき、回路のどこかに抵抗がついていたりします。

もう一つが、回路に最初から「電源(電池)」がついているパターンです。この場合、外から力は加えません。

見た目はそっくりですが、実は役割が真逆なのです。
1つ目の抵抗がついている方は「発電機」。
2つ目の電池がついている方は「モーター」なのです。
この違いを整理すると、物理がぐっと面白くなります。詳しく解説していきましょう。
パターン1:抵抗がある場合は「発電機」
まずは、外から力を加えて棒を動かすパターンです。これは、私たちが自転車のライトを点けるためにタイヤを回したり、ダムの水流でタービンを回したりする「発電」の仕組みそのものです。
問題も作りましたので、理解を深めたい方はぜひ解いてみてください。

この回路の中では、次のようなドラマが起きています。
1. 外力によって棒が動くと(加速)、棒の中にあるプラスの粒子も一緒に移動します。
2. 動く粒子が磁場からローレンツ力 f = qvB を受け、棒がまるで「電池」のような役割を果たし始めます(誘導起電力 V = BLv)。
3. その結果、回路に電流が流れます(I= V/R)。
4. すると、今度は流れた電流が磁場から力 F = ILB を受けます。
5. 面白いことに、この力が「ブレーキ」として働き、棒の動きを邪魔しようとします。
6. 最終的には、外力が引く力と磁場から受けるブレーキの力がつり合い、棒は加速をやめて等速で動き続けます。
このとき、私たちが棒を引くために使ったエネルギーが、電気エネルギーへと変換されているのです。自然界には「タダで電気はあげないよ!」という、エネルギー保存の厳しいルールがあることがわかりますね。
パターン2:電池がある場合は「モーター」
次は、回路に最初から電池がついているパターンです。これは、リニアモーターカーや電気自動車が動き出す仕組みと同じです。
こちらのパターンも問題を用意しています。

こちらの動きは、発電機とは逆のプロセスをたどります。
1. 電池がついているので回路に電流が流れます。すると、その電流が磁場から力を受けて、棒が勝手に動き出します(F=LIB)。
2. 棒が動き出すと、今度は棒の中の粒子も移動するため、やはりローレンツ力 f= qvB が発生します。
3. すると、元々の電池の流れを止めようとする向きに、新しい電圧(逆起電力 V= BLv)が発生します。
4. 最終的には、棒の速度が上がるにつれて逆起電力が強まり、電池の電圧と等しくなったところで電流が流れなくなります。このとき、棒は一定の速さ(等速)で走り続けます。
※ 実際には電子が動きますが、ここではわかりやすくプラスの粒子で考えています。
これは電気エネルギーを使って、物体を動かす「運動エネルギー」に変えているのですね。
物理の面白さは「表裏一体」にあり
「動かして電気を作る」発電機と、「電気を流して動かす」モーター。一見別物に見えますが、どちらも「磁場の中で粒子が動くと力を受ける」という同じ原理から成り立っています。
テストでこの問題に出会ったら、まずは「これは電気を作っているのかな? それとも電気を使って動いているのかな?」と想像してみてください。回路図の中に「抵抗」があるか「電池」があるか、その一点に注目するだけで、問題の景色がガラリと変わって見えるはずですよ。
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