摩擦は「止める」だけじゃない!物体を動かす摩擦力の不思議をシミュレーション
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
みなさんは「摩擦(まさつ)」と聞くと、どのようなイメージを持ちますか? 自転車のブレーキをかけたり、床にある重い荷物を引きずったりするときなど、「物の動きを邪魔するもの」「動きを止めるもの」というイメージが強いのではないでしょうか。
でも実は、摩擦力は物を止めるだけでなく、「物を動かす力」としても働くことがあるのです。今回は、物理学では定番の「2つの物体を重ねたときの動き」を再現したシミュレーション教材を作りました。摩擦の不思議な性質を、まずは動画でご覧ください。
「摩擦が物を動かす」ってどういうこと?
動画はいかがでしたか? 下の物体を引っ張ると、上の物体も一緒に動いていきましたね。もし、この2つの物体の間に摩擦が全くなかったら(ツルツルの氷の上のような状態だったら)どうなるでしょう? 下の物体を引いても、上の物体はその場に留まろうとして(慣性の法則)、ストンと落ちてしまうはずです。
上の物体が一緒に動いたのは、接触面に摩擦力が働き、下の物体が上の物体を「一緒にこっちへ行こうよ!」と引っ張ってくれたからなのです。いろいろな状況を再現するために、物体を引く力を自由に変化させて、そのときの摩擦力の様子(矢印の大きさや向き)を観察できるシミュレーターを用意しました。

操作は簡単です。
緑の「F」のボタンで、引く力の大きさを変えられます。

静止摩擦力と動摩擦力の違いを体感しよう
このシミュレーションの面白いところは、力の加減によって摩擦の種類が変わる瞬間を見られることです。

- 一緒に動いているとき: 2つの物体はガッチリとくっつき合っています(静止摩擦力)。
- ズレて動くとき: 引く力が強すぎると、上の物体が置いてけぼりになり、滑り始めます(動摩擦力)。
動摩擦力が働くときも再現しました。
摩擦力は、最大摩擦力(限界の力)よりも小さい時、同じとき、そして滑り出して動摩擦力になったときの3パターンを用意しました。 教科書の説明だけではイメージしにくい「滑り出す瞬間」を、ぜひ自分の手で動かして確かめてみてください。
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