まるで天然の光ファイバー!文字が浮き上がる魔法の石「テレビ石」の正体とは?(全反射)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

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「石の上に置いた文字が、まるで水面に浮かび上がる……。」そんな魔法のような光景を、皆さんは見たことがありますか?その正体は、知る人ぞ知る不思議な鉱石、テレビ石です。今回は、私が手に入れた大変珍しい天然のテレビ石をご紹介しながら、私たちの生活を支える最先端技術にもつながる「光の神秘」を紐解いていきましょう!

カリフォルニアからやってきた「天然」の驚き

テレビ石(正式名称:ウレキサイト)は、その面白さからお土産屋さんなどで人工的に作られたものも多く出回っています。しかし、今回私が手に入れたのは、アメリカ合衆国のカリフォルニア州で採掘された天然のテレビ石です。人工物とはまた違った、どこか自然の荒々しさと息吹を感じる質感が、理科教師としての探究心をくすぐります。

amazon テレビ石

なぜ文字が浮き上がる?石の中に隠された「光のトンネル」

この石の一番の驚きは、下に置いた写真や文字が石の表面にパッと浮き出して見えることです。まるで石自体がモニター画面になったかのようですよね。

その秘密は、石の内部構造にあります。実はテレビ石は、極めて細い繊維状の結晶が、まるでお蕎麦の束のようにぎっしりと並んでできているのです。この構造が、現代のインターネット通信に欠かせない光ファイバーと同じ役割を果たしています。

動画にその不思議な様子を収めましたので、ぜひご覧ください。

写真の上にテレビ石をおくと、

このように、下の画像がそのまま表面に吸い上げられたように見えます。これは、繊維の一本一本の中で、光が壁面に当たりながらジグザグに進む全反射という現象が起きているからです。光が途中で外に漏れ出すことなく上まで運ばれるため、映像が浮き上がって見えるのですね。

お家で挑戦!ストローで作る光ファイバー実験

「全反射」といっても、透明な中を通る光の道筋はふつう目には見えません。そこで、光の通り道を見るためのちょっとした工夫をご紹介します。水に牛乳や石鹸をほんの少しだけ混ぜると、光が微粒子に当たって散乱し、経路がくっきりと見えるようになります。今回は、石鹸水をストローに入れて、光ファイバーの原理を再現してみました。

こちらの動画で、光が閉じ込められて進む様子をご覧ください。

ストローの端からレーザーポインターの光を入れると、たとえ斜めに光を入れても、光はストローの外へ逃げ出さず、壁面で反射を繰り返して反対側の端まで到達します。その結果、ストロー全体が真っ赤に輝いて見えるのです。

理科の授業でも人気の実験です。レーザーポインターを使えば、自宅でも光の不思議を体感することができますよ(※光を直接覗き込まないよう注意してくださいね!)。

優しく扱ってほしい、デリケートな宝石

このテレビ石、化学的にはナトリウムやカルシウムを含む「ホウ酸塩鉱物」という仲間です。実はとても柔らかく、傷が付きやすいという弱点があります。うっかり硬いものにぶつけて表面が削れてしまうと、せっかくの「映像」が曇ってしまうので、宝物のように優しく扱ってあげてください。

理科の授業が楽しくなる「生きた教材」

「全反射」や「屈折」といった物理の言葉は、教科書で見ると難しく感じるかもしれません。でも、実際に文字が浮き上がるテレビ石を手に取れば、その驚きが「なぜだろう?」という探究心に変わります。

もし、もっと手軽に、より鮮明な浮き上がりを体験してみたいという方には、構造が均一な人工のテレビ石もおすすめです。自然が生んだ天然の光ファイバー、ぜひ皆さんもその不思議な世界を覗いてみませんか?

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