T-KIDSシェアスクール「ストロボ写真の解析と電気回路実験」【講師】

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

「時間は止めることができるでしょうか?」私たちの目の前で一瞬にして過ぎ去ってしまう物体の動き。それをパラパラ漫画のようにコマ送りで固定し、じっくりと観察することを可能にするのがストロボ写真の技術です。2017年8月17日、T-SITE柏の葉の「T-KIDSシェアスクール柏の葉」にて、夏休みの自由研究を強力にバックアップするワークショップを開催しました。テーマは『ストロボ写真の解析と電気回路実験』。今回は、小学3年生と4年生の2人のチャレンジャーが、保護者の皆さんとともに科学の深淵に挑んだ9分間のドラマをお届けします。

一瞬を切り取る魔法!ストロボ写真で動きを「見える化」

最初の実験は「ストロボ写真を使った物体の運動の観察」です。真っ暗な中で光が高速で点滅する「ストロボライト」を使うと、飛んでいくボールや跳ねるおもちゃが、一瞬だけ静止して見えます。これをカメラのシャッターを開けっ放しにして撮影すると、1枚の画像の中に物体の移動の軌跡が等間隔で記録されます。これは単なる面白い写真ではありません。写真上の物体の間隔を測ることで、その物体が「加速しているのか」「一定の速さなのか」という物理法則を読み解くことができるのです。少人数だったこともあり、一人ひとりが納得いくまでシャッターを切り、自分だけの「時間の断片」を記録することができました。

鉛筆で回路を作る?黒鉛に隠された電気の通り道

2つ目の実験は、少しマニアックでワクワクする「鉛筆電気回路実験」です。皆さんが普段使っている鉛筆の芯は、黒鉛(グラファイト)という炭素からできています。実はこれ、電気を通す性質を持っています。方眼紙の上に鉛筆で真っ黒な帯を描くと、それがそのまま「電線」や「抵抗器」になるのです。

方眼紙に1cm × 20cmの鉛筆の帯を作っていきます。

この帯に電池をつなぎ、マルチメーターという測定器を使って電圧や電流を測ります。ここで物理的なポイントになるのが、抵抗 $R$ の法則です。$$R = \rho \frac{l}{S}$$ここで $l$ は長さ、 $S$ は断面積です。鉛筆で描いた帯が長くなればなるほど、電気の通りにくさである抵抗値が大きくなっていく様子を、実際に数値で確認していきます。

マルチメーターで、電流や電圧を測定しました。

親子で挑む、自由研究の「壁」と感動

実験で得たバラバラの数値を、一本の線でつなぐ「グラフ化」の作業。これが今回のワークショップで最も手強いハードルでした。参加してくれた小学3年生の子にとって、学校で習う「棒グラフ」ではなく、データの傾向を読み取るための「折れ線グラフ」やメモリの読み方は、少し背伸びをした内容だったかもしれません。しかし、同伴された保護者の皆さんが熱心にサポートしてくださり、最後にはしっかりとデータを可視化することができました。

アンケートの結果

アンケートでは、2名とも「非常に楽しかった」と答えてくれました。保護者の方が代筆してくださった温かいコメントをご紹介します。

実験が好きなので楽しかったです。ありがとうございました。

回路を自分で作るのが楽しかった。写真でとったおもちゃの動きがおもしろかった。

※ なお、前回行ったT-KIDSの電気回路の実験教室の感想については、こちらを御覧ください。[blogcard url=”https://phys-edu.net/wp/?p=28491″]

実施してみて感じたこと

今回の教室を通して、小学3年生と4年生の間にある「発達段階の大きな違い」を肌で感じることができました。4年生になると抽象的なデータの扱いにも慣れてきますが、3年生にとっては「目の前の現象」を「数字」に置き換える作業そのものが大冒険です。中学校での授業とはまた違う、知的好奇心が芽生える瞬間に立ち会えたことは、私にとっても大きな学びとなりました。科学の面白さは、失敗や苦労の先にある「わかった!」という瞬間にあります。今回の自由研究が、彼らの世界を広げる小さな種になってくれれば嬉しいです。

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